名作と名高い本作。いまさらの初見。
そして……ほぼ面白くなかったんですよ。むしろツライ。
何がいけないかというと、……道具立ての殺伐さですねー。
粋がって煙草を吸う子供たち。虐待を受けている子供たち。
不良の若者たち。車を盗むとか、ポストを無目的に破壊するとか、子供たちを脅迫するとか。
銃を持ちだす子供たち。本人たちはいいんだろうけど、口汚くののしりあうじゃれあい方。
死体を戦利品扱いする無神経さ。
もう全部見ててツライものばっかりで嫌悪感さえ抱く。
これは全然楽しくない。苦行でした。
今回すごいズレを感じるのは、
子どもたちってそれぞれすごい葛藤を抱えているわけじゃないですか。
ゴーディが「兄の代わりにお前が死ねば良かった」なんて言われており。
そんなの精神が危機に瀕するほどの虐待でしょう。(これは夢だったらしいけど、
そんな夢を見るほど追い詰められているのだから、本人にとっては現実とほぼ同じ)
テディだって、父への愛情と憎しみが激しく、とても正常な精神状態ではいられない。
クリスの苦悩も深いけれども、それは精神のバランスを崩すまではギリギリいたらない苦悩、
しかしゴーディとテディの苦悩はその何倍も危険な苦悩。に見える。
でもこの映画ではそこら辺を一緒くたに描き、友情が苦悩を救ったという話にするんだよね。
納得できないなあ。これは「ゴーディがクリスの友情によって救われた」という話であるべきで
「12歳の(少年時代の)友情って特別だよね」という一般的なノスタルジーの話に
するべきではない。
友情が救う話にしたかったのだったら、個々の少年が抱える苦悩は
もう少し軽いものであるべきではなかったか。そうして欲しい。
わたしは「少年時代の一夜の冒険が友情を深める」という話だと思っていたから、
全然違う話で違和感がすごかった。まさか本当に死体があって、死体を映して、
しかもそれをただの戦利品扱い……。ほんとデリカシーがないよね!
わたしはスティーブン・キングの作品は1冊しか読んだことがなくて、
その時読んだ「図書館警察」、は全然ピンとこなかったらしい。
後味というか、全体的に味が悪い。苦々しい思いを抱く。
ここらへんはこの映画と通底しているかもね。要はやりすぎなのよ。
感受性の部分で、わたしはアメリカ的なものとは相容れない気がしている。
これはもう昔から。子供のころからアメリカには親しみを感じない。
いわゆるアメリカ的なもので好きと言えるものは……
ディズニー映画の何本か(単なる「好き」ならもう少し増えるが)、
ハリウッド映画のいくらか(なんのかんのいってある時期は映画世界を牛耳ってましたよ)、
マクドナルドとKFCはそこそこ好き、なくなったら寂しい。ミスドってアメリカ?
……あとはティファニーのステンドグラスと、「風と共に去りぬ」、
――すごく限定的になってしまう。あと何かあるかな?
あ、「たんぽぽのお酒」は好きだな。
あとはジョニー・デップと。でもデップはアメリカ的に感じない。むしろイギリスな気がする。NBAは以前好きで見ていた。でもスポーツはアメリカ的というより何より、
強いのが面白いという側面もあるから、どっぷりアメリカであっても
それを「アメリカ的」というのは違和感がある。
アメリカのマッチョイズムがイヤなのかなあ、と分析しているのだが……
強さが正義と思うシンプルさ?というか、単にシンプルさ?なのか。
あまりにシンプルな考え方には共感出来ない。
でもそれもわたしの思い込み、ステレオタイプの可能性が大いにある。
だってわたしは「アメリカ」を知っているわけではないし。
ここ数年で初めて「E.T」を見たんだけど、あまり面白くなかったのよね。
この時代の映画が好きじゃないのかな。それとも時宜を得た視聴じゃないと
心に響かないってことかな。それはそうなのだろうけど。
うーん。この映画、わりと楽しみにして見ただけに、残念だった。
ずっと前に「宗教からよむアメリカ」という本を読んだことがあって、
これがいたく納得出来る内容だったのをかすかに覚えている。
この感想を書いてないわけはないのだが、検索にひっかかってこない。
gooブログが終了するに伴って不具合が出ているのか。
「プロテスタント」で検索してもほぼ引っかからないところから、
多分検索機能がもう効いてないんだと思う。
タイトルは「宗教としてのアメリカ」とした方が内容を表していたように思う。
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