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< 第三の時効 >

いやー、まあまあ面白く見終わって、後で情報を見たら2021年のドラマなんですか!
なんと古めかしい!
見ている間は十数年前に放送されたドラマだと思っていたよ。
でもよく考えてみれば、各役者は相応に年を取っていたし、スマホは普通に流通してそうな
型番のものが出て来るし、こちらが思い込んでいただけですね。

原作小説が多分優秀なんだろう、最後のどんでんはなかなか面白かったけど……

ネタバレあります。

とにかくねー、ともさかりえをキャスティングした時点で「犯人はコイツ」なのよー。
そこ以外は普通にうまくミスリードしていただけに(映像的嘘は混じるけれども)、
ともさかりえじゃなければ騙せたのになーと残念。

わたしは彼女はどっちかいうと好きだし、力量のある女優さんだと思うが、
だからこそ通り一遍の役をするわけはなくて、登場した時点で
「犯人(少なくとも怪しい関係者)」認定をされてしまう。

もう、ともさかりえをミステリドラマで使う時には、いかにも怪しい関係者で、
犯人か?と思わせておいて、実は違うという当て馬的に使う限定でいいんじゃないか。
意外な犯人にならないのよ。

視聴時は、昨今の「孤独のグルメ」の印象が強すぎて、「(孤独のグルメ前の)昔の松重は
こんな役もやっていたんだなあ」という見当はずれな感想を持ちつつ見ていた。
そう思っていたので、演技への感想がズレてしまった。

うーん、冷酷な役を冷酷にやろうとしすぎて薄くなった気があるかな?
西田敏行なんかもそう感じていたけど、シリアスをやってもユーモラスな過去の役柄に
引きずられて見てしまうというのはあるからね。

あと、この程度の役で仲村トオルと岸谷五朗は無駄に豪華すぎない?と思ったが、
シリーズの中の一本として作られたからこうなったんですね。納得納得。
彼らは他の話で主役を張っているようだ。今回はチョイ役。

吉沢悠はわりと変な顔になりましたね。なんともいえない顔。いいのか悪いのか。
個性派俳優だが、最近はわたしの見る作品ではあまり見てない。
今回は微妙な狂言回し。主役ともいえないだろうが、主役じゃないとも言えない微妙な線。
女性にだまされるエピソードがもっと深まるかと思ってたから、
「だまされた~」で終わるのがちと不満。それだけなら、そこを無くしてもう少し明朗な
キャラクターにした方がむしろ良かったんじゃないかな。
まあ吉沢悠を使う意味がなくなるかもしれないが。

松重がともさかりえを犯人だと断定する根拠が薄弱すぎるのが結構大きなマイナス。
自分が疑われたから別に犯人がいるに違いないと直感して調べてみた、まではいい。
が、もしともさかりえが週刊誌にリークしたところまで明確になったとしても、
それは犯人だという断定にはなり得ないんじゃないか。

ともさかりえが犯人で動かない(起訴状に名前を書けるほどに)証拠はなかったと思うのよね。
ここがちゃんと、なるほど!と思える一点があったらかなり鮮やかさを感じたと思うけど。

裁判官の脅迫工作も……なんとなくそれっぽく、程度でしたね。
他人のする事務作業を裁判官本人が遅らせられるかどうか。
自分の手元に置いておくのも限度がありそうな気がする。
裁判所は法律の範囲内なら動きは鈍いが、さすがに殺人事件に対する手続きを
のろのろやっているわけにはいかんだろうし。責任問題になる。

全体的には面白かったが(だから感想も書いてる)、少々ひっかかる部分はあったね。

あと冒頭に言ったが、ドラマとしての雰囲気はかなり古風。
横山秀夫の小説が……ええ?2003年!?1980年代、せいぜい90年代だと思った!
小説の発表時代に合わせて古風に演出したかと思ったのに!
20年以上前と思えば古風という表現も出来るのか……しかしわたしにとっては
2000年以降は最近の話だ。まあ最近とはいわんでもそう昔の話ではない。

(個人的に)いろいろ裏切られた小説・ドラマでしたね。

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