前篇に引き続き面白く読めた。
ただどっちかというと、前篇の方が明治初期の建築界の状況というところまで含めて
蒙を啓かれたのに対して、栄華篇の方はそこまでではなかった。
わりと細かい話でした。岩崎家・丸ビル・ヌーヴォー・デコ・田園調布・伊藤忠太など
9つほどのテーマについての小論。
建築に対する、財閥家の考え方は――普通に生活していれば全日本人的には全く意識しない
けれども、意外に人々の生活に影響を与えているのだなあと。
やはりランドマークな、エポックメイキングな建築は、知ってみれば「誰か」が作るのよね。
昨今の建物はあんまりそうは思えないけど、実際内情を知ってみれば
誰かの意思がつまったものなんだろう。
丸ビルは、名前は死ぬほど聞くけど実は認識できてない建造物。
そして「建造物として丸かどうか」というのは考えたことがなかった。
角だけアールにした、女性用名刺みたいな形の建物なんですね。
あ、当然ながら丸の内にあるから丸ビルなわけですが。
なるほど。日本初のアーケードビルということですか。
それが当たり前になった今からでは考えられないけど、画期的なアイディアだったらしい。
そういうのは教えてもらわないと気づけないことだからためになった。
デコは藤森さんの、専門ではないにしろお得意の分野だし、
伊東宙太はたしか師匠筋だよね?あちこちで書いている気がする。
開化篇の方ががっつり面白かったけど、今回のこれも面白かったです。
これは2017年出版。もう6年前ですね。
藤森さんもまあまあお年を取ってきたと感じることも増えたので、
今後ともお元気でがんばって欲しいです。
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