平山優の3冊目。ここで羅列が続くかどうかに全てがかかっている(?)。
結論からいえば、羅列といえば羅列でした。
が、前2冊と比べて、前半部分でわりと丁寧に解説されていたので読みやすかった。
1冊目2冊目は最初から延々と羅列が続いて、最終部にようやく解説でしたからね。
これが逆になっただけで(解説部分も増えたし)だいぶ違う。
で、半分にさしかかったあたりから羅列部分に入る。
でも前半が面白く読めていたので、羅列部分もしばらくは気にならなかった。
しかし羅列になると読むスピードがだいぶ鈍るんですよねー。
4分の3くらいまで来たところでギブアップ。だいぶ飛ばして最後50ページくらい?を
読みました。
今回の羅列部分は、今までと違ってそれなりに興味深い内容ではあったんだけど、
結局数を読んでいると飽きる内容だったのよね。
こういう部分は、知っていること(調べたこと)を、20書きたいところを
我慢して5つくらいに減らしてちょうどくらいじゃないかな。新書なんだし。
忍び=忍者だと思っていたが、いわゆる「忍者」はむしろ特殊で、
偵察・工作・探索・夜討・伏兵・放火・暗殺・篝火焚きなど様々な任務を、
(我々がイメージする)忍者的な特殊技能「なしに」行う人々だったようだ。
わたしのイメージでは早く走れて忍者道具を使いこなせて、代々伝えた特殊技能があり、
当然黒装束で……だったが、この本から受けたイメージだと、
たしかに特殊技能はあるが(変装など)、完全専門職というよりは
数で当たる、言い方は悪いが使い捨ての兵隊だと思った。
実際、何百人と忍びがいないと戦も立ちいかなかったようですね。
専門の人々と、普段は農業をやっていて有事の際だけ忍び働きをする人とが
いたらしい。そして悪党出身者も多く、普通に暮らしている時には周囲との
いざこざも多く、有用な存在だけれども蔑視もされていたよう。
ここらへんは立場がいろいろ複雑で、いわゆる「忍者」も間違いではないけれども
それだけでもないらしい。
「どうする家康」で山田孝之がやっていた服部半蔵は面白く見たので、
あの描かれ方は半々で正しかった(この本の内容が「正しい」として)んだなと思った。
江戸幕府が成立して、忍びがまったくなくなったわけではないにせよ、
だいぶ数を減らすことになった状況を読んで、
昔、時代劇の中でよく言われていた「追はぎや山賊が出る」というのは、
失業した忍びが多かったのかもしれないと思った。
面白かったですが、やはり羅列の多さは気になった。
羅列と言わなくていいくらいに面白い内容ではあったけど、やはり数が多すぎる。
もう少しこの部分を減らして読みやすくすれば、新書としてもっと良くなると思う。
書けば書くだけいいってもんじゃないしね。
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