磯田道史は、前に一旦だいたいの著作をつぶして、また戻って来た。多分11年前。
11年の間にこの人もずいぶん書きましたね。
この「龍馬史」の特筆すべき点は、その平易さ。
これは、歴史に詳しくないけど龍馬に興味がわいた人に最初に読んで欲しい1冊ですな。
読みやすいし、内容的には過不足ないし、とても妥当な内容だと思います。
龍馬ファンが書いた本も多いからね。
まあファンが書いたものも悪いわけではないんだけど、わたしは龍馬は
一般的な風潮として持ち上げられすぎかなーと感じていて。
そういう意味ではこの本は賛美一辺倒ではなくて適度。
だが坂本龍馬の本はたくさん出てるから、2010年出版のこの本だと
最新の内容が書いてあるかはちょっとわからん。13年前だもの。
2017年(多分)のドラマ「龍馬の遺言」は面白く見た。
これも龍馬をスーパーヒーローに仕立てていないところが良かったんだよな。
龍馬は多分、人好きもしたし、性格もおおよそ良かったし、目端もきいたし、
コミュ力も高く、潤滑油としての存在でもあり、可愛げのある男だっただろうけど、
今世間で流布されているような天下百年の計を持った男だったかというと
そこまでではないと思う。
まあ経済的なアンテナは同時代の「侍」よりもはるかに利いただろう。
結果的に経済的な発展が現代社会を作っているから、百年の計を持っていたように
見えるけれども、そこまで深慮遠謀の偉人だったかというと。
フットワークの軽さが長所の、気軽な人だったと思いますよ。
この本はそういう点に言及していて安心する。
磯田道史はけっこう贔屓だしね。「英雄たちの選択」、興味あるテーマの時は
見ますが、あれもずいぶん長いね。こんなに続くとは思わなかったよ。
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