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◇ 門前典之「屍の命題(シノメイダイ)」

誰だったか批評家の(本屋の店員さんだったかもしれない)オススメだったので
読んでみた。バカミスだとも言われていたので覚悟していたのだが……

なんだ。全然バカミスじゃないじゃないですか。ちゃんとした話。
むしろ本格なんてこんなものでしょう。がっちり謎解きを構成しようとして
ついつい書きすぎるとか。
これをバカミスというのなら、綾辻行人の館シリーズあたりもバカミスな気がする。

と、最初からハードルを下げて臨んだので印象はかえって良かった。
面白かったですよ。

雪の山荘でした。雪の山荘タイプ、じゃなくてまんま雪の山荘。
話はまったく知らないまま読んだ方がいいと思うので、一切内容には触れないが、
特に中だるみもなく、終始面白く読めましたね。

文章は少々しつこい。若干下手寄り。しかし気が散るほどではないので無問題。
解決は、無理があるなーという部分も二、三(四、五)あるが、いいことにしましょう。
解決の外枠は「はー、そう作ったか」と感心する部分があり読後感はいい。

小説として上手くはないかもしれない。でも本格ミステリとしては好きだ。
これが初作品で、今後も読んでみようと思えた。
これはデビューの数年前に自費出版で出した作品の復刻だそうだから、
おそらく何につけても過剰なのだろうと思われる。
……書いていくうちにさらに(地が出て)過剰になるタイプの作家もいるから、
そうなったら読み続けられないだろうけど。

現時点では2作目以降も楽しみに読む。

が、その前はぎりぎりともかく、「シノメイダイ」はやりすぎ。
ここが一番バカミスっぽい。これ、要らなかったやろ。

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