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◇ 新井素子「銀婚式物語」

これ……前に読んだな。
そして読後感想をここに残してないということは、多分……
武士の情けだったに違いない。

昔、好きだった。相当読んだよ。
女子高生の喋り言葉で小説というのが新しかった(らしい)。
元々はSFの人で(しかし科学的な妥当性はほぼない)、女性作家はますます珍しい。

本作の前編、前々編も昔読んだ。「結婚物語」「新婚物語」上中下巻。
どっちも持ってる。けっこう再読した。好きだった。

が、数十年経っての新作で、この文体は――ツライのだ。

女子高生が(世間的に)初めて書いた文体だからこそ面白かったかもしれないが、
今はライトノベルでこういう文章はどこにでもある。
なんなら文体自体、前よりしつこくなっている。
1のことをいうのに3くらいかけている感じ。
そのしつこさが、もう受け付けないなあ……。

「新婚物語」でかなりの比重を占めていた猫のこととか、
本棚の家とか、内容は面白いことは面白かったんだよ。
だがとにかくその文体が辛かった。読めない。
美味しいと感じない食事を大量に食べなきゃならない感じ。

愛着はある。――が、もう読めない作家だ。さびしいが。

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