こういう苦しいドラマは嫌いなんだよ。
なので一話目を見た時、問答無用で視聴中止にしようかと思った。
が、これだけ面白そうな役者を揃えて、しかも導入部の緊迫感よ。
ツライかもしれない。だがツライけれども見るしかない。
というわけでツライ思いを我慢しながら見ました。見ると鬱になるドラマ。
これが全5回でほんとに助かった。
まあ辛かったのは第3回くらいまでで、4、5は普通に見れたけど。
とにかく柄本佑と阿部サダヲがコワイコワイ。
追いつめられる緊迫感、その論理的な狂気。コワイですねー。コワイですねー。
こういう空気感を創れる役者は偉大ですねー。
不安定な構図と寒々しい色彩感覚も優れていて、演出も偉大だった。
柄本佑はけっこう見ている気がする。わたしが見た作品で主役というのは
少ないけど、いい役者だと思っている。
ドラマ「牡丹灯籠」では、悪い役だったけどずいぶん色っぽく見えましたね。
こんなにかっこよくなったか、と一驚。
今回もところどころ色っぽくて、色っぽさが必須の役柄ではなかったけど
陰影が出ましたね。
鈴木杏は久しぶりに見たー。こんな演技出来る人だったのか。
わたしは映画でもドラマでも長らく見ていなかったけど、
この人は舞台にも力を入れてるようだね。
緊迫感のなかの演技が映えた。柄本佑と阿部サダヲを相手に一歩も引かなかった。
渡辺いっけいがちょうどいい役をやっていた。彼はあちこちで出る役者だけれど、
わたしはいつも微妙に合わないと感じていて。今回のこの役ははまっていた。
面白い使われ方をしたのは藤森慎吾。マジメなんだか、全部チャラいのか絶妙。
それがあんな消え方をするんだから心に残る。
ちょっとヅラがやりすぎだったのは滝藤賢一。好きなのでいいですけれども。
息子役も上手かったですね。昨今の子役はみんな上手いなあ。
ただ、4回5回と鈴木杏の方にも話が広がって、家族の話になっていってしまうのが
心的負担という意味ではありがたかったけれども、面白みは減じた。
看板に偽りありといったら大げさだが、
やはり導入部の殺人か否か、それにまとわりつく佐伯の狂気、という流れが
ツライけれども面白かった。これを5回ぴっちりやられたら辛かったろうが。
複生者は、生き返ってめでたしめでたしじゃなかったんですねえ。
万が一そういうことが起こったとして、追いつめられるパターンがデフォなんだろうか。
以前と同じ会社に復職は出来ないのは仕方ないとして、
生命保険会社の対応はあんまりな気がするなあ。
複生者が社会現象になるまで増えているなら、何らかのガイドラインを
新たに取り決めなきゃならんでしょうし。
まさか「返せ返せ、さあ返せ、保険金ドロボー」という態度を取るとは思わなかった。
まあわたしは保険会社に信を置いてないですけれども。
複生者に反感を持つ人たちは何に対して怒っているんだったかね?
デモをするほど差し迫った迷惑はかけられてないんじゃないかと思うんだけど。
わたしはこの原作者にもなんとなく信を置いてないので、そういう意味では
ドラマのストーリーとして邪念が入ってしまった部分はあるのだが、
ドラマとしてはかなり作り込んだ、入念な作品でした。
役者、スタッフはオテガラです。
だからといって今後こういうツライドラマをたくさん見たいわけではない。
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