ポンペイも(巡回展が)何回か来ている気がするなあ。
テレビでたまに特集もされるし。なんなら現地にも行ったしさ。
とはいえ、宮城県美術館改修工事閉館前の貴重なヨーロッパなので見に行きますよ。
期待よりは、ごくかすかーに展示品が地味だった。
モザイク画がもう少し来るかと思っていたし、
生活用具の辺りはもっと少ないと思っていた。
とはいってもごくかすかな範囲で、期待外れとまでは言わない。
地味に環境展示を何ヶ所か作っていてくれたのも好印象。
中庭のサイズはだいぶ小さかったけど、その直前に展示されていた大理石の吊るし飾り、
「これ実際どういう風に飾られたんだろう」と疑問に思っていたので、
直後の環境展示で実際をそれを見られたのは良かった。
鴨居(?)の下の空中にけっこうな大きさの大理石のメダルを飾るというのは
変わってるよねえ。
展示の序盤はあまりピンと来なかったな。
どんな展示でもおおむねそうなんだけど、入口は挨拶とか概要とか書いてあるから
みんな立ち止まってて混むんだよね。
その上今回は見学者に年配の人が多くて、……年配の人は一緒に来た人と
喋りながら見る人の割合が高くて、ちょっと辟易する。自由に喋る。
そりゃ自由に喋りながら見た方が楽しいのはわかるが、やっぱりうるさいんですよ。
物としては。
いろいろあったけど、非常に気に入ったのは以下のもの。
「黒曜石の杯」
20センチちょっとありそうな、形としては小さい両手鍋みたいなんだけど、
黒曜石の塊をその形まで削りだしたそうだよ!けっこう薄いよ!
そこに鮮やかな貴石がはめ込まれて絵が描かれていて……
真っ黒な地に赤やトルコ石の青や金が映えてとてもきれい。
「祭壇」
30センチ四方くらいの箱型の……祭壇というよりは大きめの香焚きという
イメージの大理石彫刻。
これは妙に気に入って。二回りくらい小さかったら欲しいわ。
レプリカでもいいから。それで室内香を焚きたい。
大理石の雲母成分がきらきらと光ってきれい。四方に浮彫が施されているが、
右側面の浮彫は二羽の鳥のキスで、平和で平時のモチーフで良かった。
「竪琴を弾くアポロ」
等身大くらいの青銅のアポロ像。目が鮮やかに白い。象嵌?
均整の取れた若々しいアポロ像だが、火山灰の熱によって表面は全体的にぶつぶつ。
美しさと痛々しさが混ざり合って、それがユニークな特徴となっている。
しかし青銅像に白い眼の象嵌って、目が鮮やか過ぎてコワイ。
ちょっと気に入ったのは以下の通り。
「パレード用の兜」でかい。
「ライオン型3本脚付きモザイク天板テーブル」獅子足のテーブルなんだが、
足は前脚として1本なのに、そのすぐ上にライオンの上半身がそのままついてるのが
……なぜこうした?感があって微妙に笑える。
「奴隷の拘束具」これほんとに奴隷の拘束具なのかなあ。使い勝手が悪いのでは……。
船で使うものなら何とか。しかし地上で細々とした用をさせる奴隷には
向かない気がする。
「テーブル天板(メメントモリ)」中央に二カッと笑ったどくろが。表情が絶妙。
「アヒルのケーキ型」正しくはアヒルの丸焼きケーキ型。おい。
「猛犬注意のモザイク」何度目かなあ。
「葉綱と悲劇の仮面のモザイク」そこはかとなく伎楽面と似たテイストを感じる。
「ネコとカモ」西洋静物画の伝統を感じる。油絵でありそうだもの、こういうの。
「キケロ荘の黒壁」綱渡りのサテュルヌスとか、踊り子とか、
壁にちっちゃいアクセントとして人物を描くデザインはあまりないと思った。
面白いね。
あっち行き、こっち行きで見ていたので実際に物を眺めていた時間は短め。
全体で1時間強かな。1時間半まではいかなかった。
少しボリュームは控えめだったが、満足は出来た。
判りやすいという意味では現地よりもこういうエキシビの方が情報は多い気がする。
愉しかった。
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