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◇ 佐藤亜紀「金の仔牛」

やあやあ、久しぶり、佐藤亜紀。

ここのところ、課題図書リストの2周目が廻って来て、再び出会う作家が続いている。
佐藤亜紀も再会の作家。元気でしたか。この10年、何をしてました。

と思って読んだところ、相変わらず面白かったのでうれしい。
でもよく考えて、前に読んだ本がどんな話だったかすっかり忘れている。
全体的なもやもやとした印象しか。
でもいいのだ。曲者で知的な、あの雰囲気を失わなければ。

今回の作品は株の話。株ってあれですよ、お金儲けのあれ。
時代的には1719年。わたしは全然聞いたことがなかったが、
ミシシッピバブルというものの話だそうです。
チューリップバブルはあちこちで聞いたことがあったけど、ミシシッピバブルは初耳。

だがわたしは政治経済については常識以下の知識しかないので、
読んでいて、ふわーっとしか理解出来てなかった。でもその程度でも楽しめます。
がっつり株について詳しく書いているけど、それを一から十まで理解出来なくても、
株に踊らされる人々の姿を面白がれれば。

狂騒曲。

キャラの立った登場人物たち(主に間抜けな悪役)が、金に鼻を引きずられて
右往左往していく。命を賭けて右往左往していく。
そこら辺の人間たるもの、人間なるもの、が面白かった。

特にラストがねー。これを最後まで読まないと死んでも成仏出来ないよ。
終わりがこれほど気になる作品は久しぶり。読み終わるまで楽しかった。
作品に細かいことでいいたいことはない。面白いものを読ませてくれて楽しかった。

次もよろしくお願いします。

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