うーん。なんかちょこちょこ気になる。あ、気になるのは悪い意味で。
前半の追跡劇はすごく面白かったんだよなあ。
「追跡劇」というとひたすら必死におっかけまわす、というイメージですが、
これがゆっくりじっくりとした「追跡」で、一見だらだらとしているのだけれど
なんか面白い。味わいがある。まさにサスペンスフル。
こんな風に撮れる人はなかなかいないだろうなあ。
この追跡劇がけっこう尺をとる。
前半、これを現代でリメイクして欲しいなーと思っていた。
ロケも。間も。役者も。吟味して吟味して、味わいのある画は撮れないもんか。
そういう力量のある演出家の作品で見たいなあ。
ただし後半の話はとっちらかったような印象があった。
(ネタバレあり)
奥さんが本当に死んだにしては、そのすぐ後が簡易法廷みたいな形で
ばたばたとしている。なので本当に死んだのか納得できない。
わたしはミッジが奥さんに変装していて、ジョンの高所恐怖症を直すための
壮大なお芝居の一環だと思ったんだよ。そしてぱぱっとまとめれば、
小粋なサスペンスコメディになったと思いませんか。
……が、実際は最後までシリアスなドラマでした。
ジョンとジュディとの出会いが安易で雑に感じる。後半はだいたい雑だと思っていた。
この後半の話を丁寧に作ってくれたら面白かったんだけれどなあ。
ジュディが置手紙という形で経緯を全部説明するのが嫌だった。
あまりにも安易。ここをじっくり描いていけばそれで1本の映画になったのに。
まあそれだと長くなって、前編後編というわけにもいかなかっただろうけど。
ジョンとジュディの関係性がなあ。
定まっていないことに文句はないけど、計算され尽くしたサスペンスとして
定まっていないのではなく、単に練りこまれていないように見えた。
心を病んでしまったことによって、ジョンが追いつめられる方から追いつめる方に
変わったのは……無理があるような。
むしろここのジョンをもっと怪物的に描いてこそサスペンスという気がするが。
人間のまま。追いつめてるのか単に鈍感で暴君な人に変わっただけなのか、
はっきりしないので、うーん?と思う。
ここだなー。
すごく上手い人に。現代日本のドラマとしてリメイクして欲しい。難しいだろうが。
場所としての魅力も欲しいから、……そうなると単にトラベルミステリーに
なってしまうだろうか。
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