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◇ 小松左京「日本沈没」(上下)

長年読んでこなかった「日本沈没」、多分3年くらい前にリストアップして
今回読む順番が回ってきました。
3年前ならつい最近といえる。

大した作品。だとは思ったが面白かったかといわれれば半分くらい、
好きかといわれれば特に好きではない。

優れていると思われる点は、

科学的な部分の内容がすごい。
潜水艇とか、火山帯、地学的な知識、それらを包括した視点で見られること。
著者に膨大な知識量があったことは間違いない。
付け焼刃ではない、内容を咀嚼した上で書いていると感じた。

あっさりはしているけれども、国際政治的な状況も書いていること。
政治小説というほど踏み込んではいないが、それなりに。
国際力学なんてほんとはもっとドロドロのグチャグチャだろうと思うが、
基本的には善意に立った書き方をしている。ので読んでてつらくない。

理系小説。という感じ。
理系的な部分について、100%文系のわたしは現在でさえ古さを感じない。
ちなみに1973年刊行。

劣っていると思われる点。

文体がちょっと……。句点が多すぎる。傍点の多用もしつこい。
会話文でさえ3行くらいにわたるものが珍しくなく、ちょっと長い。
会話文が説明文でもあるのでこうなる。
それが一概に悪いことではないが。

理系部分以外の「物語部分」はさすがに古びている。
今の女性でこんな喋り方をする人はいないし、
総じて登場人物はあまり魅力的には見えない。
このへんは仕方ないかも。

理系部分が多すぎて飽きた。これは好き好きだろうけど。
後半は飛ばし読みをした。

タイトルが「日本沈没」なのに、小説の中で「日本沈没」という単語を
出すまで、相当にもったいぶったね。ちょっとその辺が飽きた。
文庫本上下巻だが、4分の3くらいのボリュームで読ませてほしかった気もする。

飛ばし読みもあったが、読めたことに満足した。
大災害の再現度が見事でSFとして力作だし、名作でいいと思う。

ただ特に好きではない。……という感想。

 

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