EPITAPH?エピタフってなに?……と思ったら「墓碑銘」だそうです。
わたしは恩田陸の作品をそう面白いと思っている方でもないんだけどね。
でも恩田陸は好きなので読んでる。
そういうわたしからすると、これは……締め切りに間に合わないがゆえの苦し紛れの作品だね。
ある意味でわたしはとても面白かったんだけどね。エッセイとして読んだから。
これは「筆者」が戯曲「EPITAPH東京」を書こうとして、いろいろ取材し、生活し、
それによって生じる思考の各部分と、
「EPITAPH東京」(戯曲)の断片、
「筆者」の知人の自称吸血鬼である吉屋の一人称部分で構成される。
これはね。素直に恩田陸が書けなかったんだろうと思うよ。
で、何とか上記の構成を考え出してかっこをつけたと。
でも思考の部分は(その生活の部分とともに)、エッセイとして面白かった。
むしろフィクションが読みたい気分じゃなかったのでありがたいくらいだった。
語り手は恩田陸そのものに感じる。
なので恩田陸のことだとして読んでしまう。そうすると将門塚について語っても、
東日本大震災について語っても、共感があって面白い。
書けなかったんだろうな。東日本大震災のあとで。
この頃は表現者の多数が、表現することに悩んだ時期らしいから。
でもまあその後、「蜜蜂と遠雷」で本屋大賞も取っているんだし、
その腕力は衰えたわけじゃないと信じるよ。
相変わらず読んでも読んでも追いつかないほど本を出しているようだしね。
では、また次の本で。
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