「奸婦にあらず」はあまり感心しなかったけど、わたしは基本的に時代小説の書き手としての
諸田玲子はなかなか好きです。
登場人物がみんないいよね。
でもこの「狸穴シリーズ」、読んでいる分にはなかなかいいんだけど、
設定にやはり無理があったのではないかなあ。
今まで1~3巻出てるんですけどね。
主人公の結寿は火盗改を引退した祖父を持つ17歳の娘。
ひょんなことから火盗改とは犬猿の仲である町方の与力(だっけ?)と淡い恋仲になるも、
家の都合で別な家に嫁ぎ、生木を裂かれてしまう。というのが2巻まで。
そして3巻は嫁いだ先で、与力のことは忘れられないながらも、旦那もなかなか見識を備えた
いい人であることがわかり、好きになっていく。与力も別に嫁を迎えた。
だが嫁ぎ先の家が重大な失策をし、お役御免になってしまう。
実家が強硬に介入し、婚家から無理やり離縁させられそうになったところを何とか
実家の反対を押し切り縁切りは免れた。というところで3巻終わり。赤ちゃんも生まれた。
うーん。でもこういう設定ならば、与力は早いところ「過去の人」にしないと早晩話が
立ちいかなくなるのではないか。
ほぼ全員が善人で(実家の継母以外はみんな善人)、結寿も浮気をしないなら、
与力がいつまでも出て来ては話が作れなくなる。
しかもこの与力(妻木道三郎という名前だ)、1、2巻でかなり魅力的に描かれているんだよねー。
ここまで魅力的に作ってしまったキャラクターをおいそれと捨てては読者が承知しない。
なので中途半端に出て来るんだが、このままどっちつかずでは主人公の善人性が損なわれる。
でも妻木は3巻で奥さんを離縁するのしないのって話になってるしなあ……。
一体どうするつもりなんだろうね、諸田玲子は?
というわけで、わたしの予想はこのシリーズはこれで中途半端に終わるだろうと思います。
いや、これは中途半端ではないのか?一応完結したことになってるのかな。
その辺は読み手によって違うかも。
でもお役御免になって完結ってのは、本来はないよね、諸田玲子の。
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まあわたしはお鳥見女房シリーズが鉄板だと思いますよ。諸田玲子は。
これはすごく好き。
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