映画館で予告は何度か見たが、劇場には見に行かなかった。
わたしは、こういう辛気臭い系の邦画は苦手なんだよね。樹木希林ががっつりやるようなので、
少し見たいとは思ったのだが……。
詩情を交えた長い描写。絵柄がだいぶ良くないと、この手法は苦痛になる。
今回は桜が美しかったので、そこまでの不満はなかったが、
永瀬正敏が寝起きしているアパートとか、どら焼きやさんのたたずまいとか、
「ワビシイ」という言葉が漂う。ワビシイのは好きじゃない。
このくらいのワビシサは日本中どこにでも転がっているけど。だからこそイヤ。
ハンセン病を取り上げている。ただ、ハンセン病を取り上げるにしてはちょっと軽かった気もする……。
軽いっていうか薄い。
まあでも厚く描くだけが手柄ではないか。さりげなく描くのもありか。
ま、この映画の全ての手柄は役者たちに。
安易と言えば安易なストーリーに負けずに見られたのは、やはり役者たちの力量。
……実はわたしは、ドリアン助川が役者として出てると間違って記憶していて、
“ドリアン助川ってこんな薄い顔だったかなあ”とずっと思ってた(^^;)。
叫ぶ詩人の会とかやってるから、演技も出来るんだと納得してた。
永瀬正敏だったんですね。浅野忠信かと思った。
樹木希林はさすがですよ。
次にどうでるかわからない、目の離せない演技だった。予定調和じゃない演技。
存分に演じていた。
永瀬も良かったとは思う。76歳の人を雇う、しかもあっさり疑似親子関係に入る、という
無理がありまくるストーリーに説得力を与えるくらいに。
しかしタバコをふかしすぎだと思った。煙草をふかすと考え深げに見える、
あるいは簡単に鬱屈を表現出来すぎると思うので、それは禁じ手にして欲しかった。
それは監督の責。
浅田美代子の役柄は悪役っぽく描かれているけど、むしろあの立場なら普通ですから。
甥っ子連れて来たことだって、そりゃ経営者(の妻)で、溺愛する甥っ子がいたら、
何とかしてあげたいと思うのは人情である。
何かこの人の描き方にも反感を感じるんだよなー。
最後も微妙。あんな1個120円の世界で、あんな手間暇かけたあんを作ってペイ出来るわけが……
雨降ったらどうすんの、とかね。
そもそもあのあんのコストを計算すると、店にしたって絶対無理なんですけど。
4月半ばの暗いうちから(4時くらい?)11時まで作って、7時間。
2日分くらい1度に作れるとしても3.5時間。
小豆代。水あめ代。ガス代。水道代。
業務用あんのコストと比較したら、多分10倍くらいになる。
1個120円のどら焼きを、100個売っても12000円。150個で18000円。
店だったら最低ラインが150個だな。
営業時間が11時から……18時くらい?として7時間。
1時間に最低20個は売らないと。それもコンスタントに客が来ての話。
絶対立ちいかないと思うんだけど。
見てる間は良かったが、後から考えるとストーリーに不満が高まる。
映画館で見たら、もっと入り込んで見られたんだろうか……
でもきっとコストの部分は映画館で見ても乗り越えられないな。
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