別段、鳥に興味があるわけでもなく(むしろ鳥については無知に等しい。
カラスと雀とツバメと白鳥くらいしか区別がつかん。あ、さすがにそれは言い過ぎ。
インコとかオウムとかツル、鷺……まあけっこうありますね)、
鷹狩りをしようというわけでもないのに、なんでこんなタイトルの本を読んでいるかというと、
――著者名をご覧ください。
2世とつくのは伊達ではない。王様です。いや、正確に言えば皇帝。神聖ローマ帝国皇帝。
1200年前後の人。
まあフリードリヒ2世についての私的興味の経緯はこの辺りを読んでもらうとして。
相変わらず無意味に長いけどね。
フリードリヒ2世について書いた本すら少ないなかで、
本人の著作となったら、それはもう貴重な資料。読むしかないでしょー。
……まあ多分ちょー退屈な本だろうから、全部読める気はしないけれども。とりあえずパラパラ見る。
だが、そんじょそこらでは手に入らないのであった。
図書館に予約を出して、3週間くらい経っても予約手続されない。
こういう時は経験上、紛失本だろうなーと思ったから、そろそろ予約を取り下げるか、
と思ったタイミングで「準備出来ました」と電話がくる。
わざわざ大崎市図書館から取り寄せてくれたんだって!
大崎市図書館がなぜこれを所蔵しようと思ったのが謎。
この本を読みたい人が現れる確率は、おそらく10年に1人位でしょ。
わざわざ送料をかけて送ってくれたものを、パラ読みで返しては申し訳ない。
読みます。どんなに退屈だろうと。熟読とまではいかんだろうけど、とにかく最後まで。
そしたら思いのほか面白かったのでした。
まあ鳥に興味がなくて、著者の背景を全然知らなかったらそうでもないと思うよ。
しかし1200年代の人で、皇帝で、その人生のアウトラインをうっすら知って読むと、
やはり賛嘆すべき著作物。その自然科学的立場からの視点に。
1194年生まれ。日本ではイイクニ作ろう鎌倉幕府の2年後に生まれ、1250年に死んだ人。
死んだ年数にはだいぶ開きがあるけど、源実朝と同時代。
源実朝は「金槐和歌集」を残したが、それとこれでは相当に趣が違う。
ルネサンスでさえまだ遠い先の話なのに。
実証・経験に基づいた鳥の生態を体系的に述べようとした、その姿勢が大変に新しい。
アリストテレスに触発されつつも、そのアリストテレスに伝聞や推測が多いことが
そもそもの始まりだから、自分は徹頭徹尾、自分が(あるいは自分が招いた専門家が)
知っていることを述べた。出来る限り厳密に。
800年前の人が。
イタリア、ドイツ、エルサレムを行ったり来たり、無血でエルサレムを開城し、
法王と喧嘩し破門され、息子に反乱を起こされ、生涯を息つく暇もないほど波乱万丈で生きた人が。
こんなに綿密に事物を語る。やはりそれは驚異的に思える。
乾いた、冷静な語り口の向こうに人間の息遣いを聴いていた。
このうちのほとんどは、旅の空の下で書かれたろう。
法王と対峙する時、エルサレムでスルタンと交渉する時、
その間に少しずつ書き溜めていったものだろう。
立ち向かわなければならない物事を前にして、鳥の、敵も味方もない、鳥や鷹狩りについて
考えを集中することはフリードリヒ自身の十分な慰めになったことだろう。
読みながらその部分を味わっていた。科学的に体系的にと目指すあまり、
1+1は2である、ということまで述べているという迂遠さもまた愉しい。
後を継いだマンフレディが、“皇帝の意によって”と但し書きをつけた上で、
死後にところどころ加筆しているというのも、親子を貫く科学的態度を感じさせて愉しい。
2016年発行の本。
もし3年前にフリードリヒ関連を漁っていたら、この本の存在すら知らなかったんだなあ。
読んで良かった本でありました。
大崎市図書館と広瀬図書館のお骨折りに感謝します。
文一総合出版
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……感謝するが、しかしこういう風に取り寄せをしてもらうと、色々な制約が発生するんだってね。
まず「届きました」という電話が来てから図書館の7営業日?しか取り置かない。
2週間の貸出期間は厳守。
仙台市図書館内では通常は貸出場所・返却場所は自由なのに、今回は広瀬図書館でしか行えない。
わたしは若林図書館とメディアテークと、太白図書館と広瀬図書館を時に応じて利用しているが、
自宅から広瀬図書館は約20キロあるんです……。
1、2ヶ月に1回くらい愛子に行く用事があるので予約時は広瀬図書館に頼んだが、
まさか取り寄せをしてくれるなんて思わない(市外から取り寄せてくれたのなんて今回が初)、
届いたと連絡したら7営業日以内に来い、しかも読んだ上で2週間以内に返せというのは
はっきり言って横暴だと思いました。
ページターナーな小説本とかではないので、3日で読むとかは正直無理。
わりと勤勉に読んで1週間かかった。それもまだ300ぺージちょっとの本だから読めたけど、
500、600ページの本では無理だなあ。
その後1週間のうちに20キロを返しに行ける暇があるんかい、って話ですよ。
届きましたという最初の電話も、そもそも知らない番号からの着信だったので出ずに、
検索してもネット上に出てこないので間違い電話かアヤシイ電話だと判断し放置、
その3日後くらいにたまたま広瀬図書館の開館カレンダーを見ていて、
代表番号と一番違いだと気づいてこっちから電話したからこそ連絡が取れた。
そこが怪我の功名で、もし最初にかかってきた時すぐに電話を取っていたら、
その後7営業日内には絶対に取りに行けなかった。
そして少々予定をやりくりして取りに行ったはいいが、2週間返却厳守といわれまた困る。
取りに来るのも少々無理をしたのに、1冊の本を返すためだけに20キロ来るんですか……。
正直、それはイヤです。
今回はなんとか都合つけて行くけどさー。そういう縛りがあるんだったら、
まず取り寄せする前に、「取り寄せするとコレコレこういうことになるんですけど可能ですか?」
という確認を事前にして欲しいです。
そうすると、わたしは「取り寄せまではしなくていいです」と答えただろう。
それがなかったおかげでこの本が読めたわけだが、でも次回は断る。というか、太白図書館で頼むよ。
まあでも、広瀬図書館だったからこそ面倒な取り寄せもしてくれたのかもしれないけど。
今回の件に関しては悲喜こもごも。とは大げさか。
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