なんか相当にまどろっこしい書き方をしていると思ったら、女性誌の連載ですか。
ここまで柔らかいのも書くんだね。
でも面白かったです。今まで名前だけはちょこちょこ出て来てた女性たちを、
一人頭15ページくらいにせよ、ある程度まとまったかたちで読めたのは重畳。
まあ記憶できるかどうかは定かではないが。
30回の連載で、基本的には1回につき1人について書いてるんだけど、
カトリーヌ・ド・メディシスだけ例外的に4回。
彼女本人も色々あったのだろうが、この時代は混乱期で、他の登場人物も色々な動きをするから、
それで紙数を食ったということだろう。
しかしフランスはアンリとマリーがいっぱいいて閉口しますね。
二十数名のうち、名前に記憶があるのは半分くらいかなあ。
今回読んで記憶に残っているのは、ガブリエレ・デストレ。
絵でしか知らないから、謎めいていて浮世離れした女性を想像していたところ、
実際には普通のワル姫さまだったと。
アンヌ・ドートリッシュは「三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」という映画での
幼い純愛夫婦の印象しかないので、これを読んで「アンヌよ、お前もか……」と幻滅を感じた。
ニノン・ド・ランクロが79歳で男を手玉に取ったと書いてあって、
その生涯現役ぶりがすごいと思った。
ところで、この本にはこれでもかとばかり“絶世の美女”が出て来るんだけど、
絶世の美女って……例えば誰?
写真が残っているような人で絶世の美女っつったら誰ですか。
わたしはモナコ・グレース王妃しか思い浮かばない。
そして日本人で絶世の美女と言った時に思い浮かぶ人が全然いない。
この際写真じゃなくてもいい。肖像画でも。
しかし日本の美女は……小野小町とか衣通姫とか、そこまで遡らなくてもお市の方とか、
色々いるんだろうけど、日本画の肖像画って写実じゃないのよね。
お市の方の肖像画をある程度信用するとしても、あれを見て「わあ……美人」とはなかなかならん。
最近知った人で、陸奥宗光夫人亮子は美人だと思いましたがね。天海祐希と似てませんか。
ただ絶世かというと……
まあ日本的な美の基準はあくまで野の花、月の風情で、
目鼻立ちくっきりはっきり系統の“絶世の”とか“世紀の”とかは付きにくいのかもしれませんね。
面白い本でした。軽いヨーロッパ史としてお薦め。
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