書店に並んでいた頃は、「風とともに去りぬ」の続編ってのにちょっと気は惹かれたものの、
書いたのが別人ではねえ。しかもこんな厚い本。
ということで、今まで読んだことはなかった。今回は知り合いが貸してくれるというので読んだ。
なかなか面白かったです。
「風とともに去りぬ」は文句なく面白かったんだ。高校生の頃、一昼夜で読んだ記憶がある。
ただその後読み返しはしなかった。せいぜい1回だろう。文庫本を買った時だけ。
なので、そもそも「風とともに去りぬ」の詳細を覚えてない。
主要登場人物の人間関係くらいは何とか。
でもそのくらいの記憶でも読んで大丈夫です。
おばさんたちの名前や関係性なんて全然覚えてないが、そんなに大した人間関係じゃないし。
もちろん、ちゃんと覚えていた方は面白いだろうけど。
正編も大長編だが、続編もそれはそれはボリュームのある……正直、こんなには要らない。
2段組で1100ページ。読み終わった今、確認して辟易したわ。
せめて分冊してくれ。寝っ転がって読むので、手首が腱鞘炎になるじゃないか。
前半はスカーレットが、アトランタで、レットの実家のあるチャールストンで、
親戚のいるサバナで、社交界に受け入れられずに(あるいは受け入れられても馴染めずに)、
そして、最愛のレットに拒絶され続けるところを同パターンで何度も描き、
後半はアイルランドに渡り、親戚たちに受け入れられ、金に物を言わせて広大な土地を買い、
女領主になり町を作り、しかしその町は親戚のコラムが参加するアイルランド反乱軍の
アジトに使われ、最後の最後で領主館は巻き込まれて焼け落ち、
その直前に姿を現したレットによって助けられ、めでたしめでたし。
前半は相変わらずスカーレットが手管を弄する阿呆な女であり続けるので、正直飽きます。
面白さ半分、マンネリ感半分。
アイルランドに渡ってからは俄然面白くなる……というわけではあまりなく、
やはりスカーレットはスカーレットでしかないわけだが、
しかし目先が変わって少々面白くなるかな。
アイルランドの状況を書いてあるのが面白かった。
だが親戚たちが、だんだん頑迷固陋な人々として描かれていくのがちょっとなあ。
終盤は出てこなくなるし。コラムも落ちぶれるし。
スカーレットは、そんなに人間的成長を遂げてるように見えないのだが、
(母の往時のありようがわかるなど、多少は成長したけれど)、
ザ・オハラと呼ばれて女領主としての尊敬を……最初は集めてたんだけど、
次第に背かれちゃうんだよね。この辺、そんな急に嫌われることにしちゃうの?
話の流れが納得できない。
で、アメリカとアイルランドを股にかけてレットは飛び回り、
しかし別な女性と結婚しちゃうなど色々あって、ようやくくっつくのが
ラスト10ページとか20ページとか、そんなもんじゃないか。
1100ページもあるんだから、もっとスカーレットとレットの関係性を書いて欲しかった。
ほぼスカーレットの話で、前半の大部分は社交生活、後半は領主生活がメイン。
レットはチラチラと顔を出すだけ。
社交生活も領主生活もまあまあ面白いので、そこまで不満は持たないけれど、
2人の接触があるのはちょっとだけで、その接触もほとんどいつも挑発しあうだけのワンパターンで
飽きるんだよなあ。
感想というと不満ばかりが先行するが、読んでいる間はなかなか面白かったです。
類型的とはいえ、レットのお母さんは素敵でした。
12、13時間くらいはかかっただろうな。読了まで。
これを一気読みする暇な人もあまりいないだろうが、5、6回に分けて読んで吉。
前半の話は繰り返しなので。
「レット・バトラー」というこれまた別な人が書いた小説もあるらしく、
この勢いで読もうかと思った。が……どうも評価が高くないようなのでやめておこう。
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