「家守綺譚」の続編。好き。
梨木香歩も辛気臭いような真面目な路線ばかりじゃなくて、
この程度ユーモア漂う作品をいっぱい書いて欲しいです。
というよりも、このシリーズをもっと頻繁に出して。
うっすら夏目漱石の「三四郎」あたりの系譜をひく物語。
まあ明治期の書生っぽい話、という意味においてだけれど。
三四郎のぽっかり感は多少引き継いでいるけれども、本作はファンタジー。
前作は基本的に家周りで話が進んだが、今回は家出したゴローを探しに行って、
京都の外れ?隣?のどこだかへ旅するって話。
ロードノヴェル。そんなに長い距離の話じゃないけど、土地土地の言い伝えや古老の話を
(フィクションかノンフィクションかは定かではない)色々書いている。
河童とかも登場する。イワナの夫婦も。
まあ変な話ですよ。
「これはオハナシですよ」というんではなく、普通の小説の顔してちょろっととぼけた
昔話風なハナシを織り込んで来る。この兼ね合いがこのシリーズの醍醐味。
でももう少し高堂に登場してほしかったし、ゴローも登場してほしかったなあ。
また続編は出るんだろうか。「家守綺譚」と本作の間は10年くらい空いてるからな……
![]() 冬虫夏草 (新潮文庫) [ 梨木 香歩 ]
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