南米文学。ラテンアメリカ文学というのか。
あれ、これ読んだの何でだっけかなあ?ジョイスチルドレン絡みか。
つまんないと予想をして読み始めたら、けっこう読みやすかったので有難かった。
内容的によくわかって面白いかというとそんなんではないのだが。
ほぼ全編会話体。
たまに会話の主体は変わるが、大部分が男と女(徐々に男性同性愛者だということがわかる)。
そして徐々に2人がいるのが牢屋であることがわかる。
男は政治犯らしい。女は……なんだっけかな?政治とは全く関係ない。
まあもちろんほぼ会話体というところが斬新なんだけど、それは試みる人が他にもいただろう。
この作品で、へー、と思ったのは、かなりの部分を割いて、女が男に映画のストーリーを話している点。
今まで女が見た映画で、自分が好きな・あるいは男が好きそうな・あるいは理由なく。
映画4、5本分は話してたんじゃないかな。分量の半分は映画のストーリーの話。
多分この映画は架空だよね?そうだろうと思う。
多分「語り物」には独特の面白さがあるんだよね。
古今東西、いろんな種類の語り物があった。「イリアス」「オデュッセイア」もそうだろうし、
「古事記」も稗田阿礼の暗誦を太安万侶が文字に起こしたといわれているし、
炉端でお年寄りが孫に語る昔話もそう。
つい最近読んだところでは、小泉八雲の「怪談」は奥さんに色々な昔話を語ってもらったのが
基になっているそうなんだけど、八雲はあくまで奥さんの「語り」にこだわったのだと。
さすがに奥さんもネタが尽きるじゃないですか。
なので、昔話の本を読み聞かせようとしたのだが、
「ノー。ママさんの語りじゃないとイヤ」(という言い方だったかは知らないが)
と、受け入れなかったそうだ。
この小説で、「語り」の部分と、この小説自体のストーリー展開を比較すると、
まあ語りの面白さに軍配が上がりますね。正直、話の起承転結はあまり面白いもんでもない。
そこを読む話ではないんだろうけど。文学の読み方を知らないもので。
映画のストーリーを語る、という点の面白さの小説だな。
![]() 蜘蛛女のキス改訂新版 (集英社文庫) [ マヌエル・プイグ ]
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