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< 西郷どん 1話&2話 >

鈴木亮平主役の大河ドラマ。期待は大きすぎるほどだ。

第1話。

冒頭から30分40分は、物語に自然に入っていけた。
間取りがわからない感じのこちゃこちゃした家の作り、露光過多じゃないのかと思うほどの
白っぽい画面。
でもそれは、この南の国の明るさをしっかり出したいんだろうなと思って納得した。

西郷どんの子役の演技がいいもんね。渡邉蒼なる子。
わたしはあまり子役の芝居に付き合えない方なのだが、13才ということでもう子役じゃないかも。
鈴木亮平のブログで見ると、この少年の斜め分けの髪型は30年前のサラリーマンか、と思うのだが、
衣装着せたら可愛くて凛々しい。現代バージョンより幕末バージョンの方が映える子役だった。

前半ののんびりした話運びも、わたしはいいと思ったんだよ。
大河の初回はどうしても説明ばっかりになりがちじゃない?
それは仕方ないことだとはいえ、それがベストではないだろうなあと思っていて。

だがしかし。

途中で、冷水を頭からぶっかけられたというか、「はあ?」という展開になったので、
一気にさーっと冷めた。もうそれはそれは、自分自身で驚くほど冷めた。
どこのシーンかというと、刀傷のところですね。

1.直前のシーンまで人事不省でうなされてるのに、加害者側の親子が来た時に
  本人が出て来るって何?
  治ったなら治ったなりの、時間の経過を示さないと駄目でしょう。
  タイミングとしてはそんなことが起こってびっくりした親がとんでくる、という
  流れであるべきだから、その日か、遅くても翌日。
  生死の境を彷徨う怪我なら、翌日はもっと弱ってるよね。

2.何よりも「切腹しろ!」とまで息子に言っておきながら、加害者のお父さんが
  なんで直後に「ふふん。まあ許してやろう」的にとっとと帰るのか。
  ここが絶対的に乗り越えられない。
  前半部は、至極真っ当に謝ってたお父さんだったじゃんよ。
  風間杜夫も、大事な大事な長男を殺されかけた演技ではない。
  「喧嘩両成敗」とまで言い出すんならもっと苦渋の表情じゃないと、
  身分の差については伝わらない。

3.斉彬に偶然会った小吉が、訊かれもしない自分のことをぺらぺらと喋るのは違和感があった。
  「刀が持てなくなった」とだけ聞かされ、前後の事情を全く聞いてないのに
  わかったことを言い出す斉彬もひどいもんだと思うし。

特に2がヒドイ。演出家はもしかしてアホかね?
1回目からこんなポカをやらかすのでは期待出来ないなあ。

渡辺謙は無駄にかっこよかった。主役だな。これ。

しかし斉藤由貴が不倫騒動で降板したことを思うと、渡辺謙がこんないい役で出ているというのは
なんかもやもやする。わたしは演技と私生活は別、とは思わない方だから、
不倫なんてする役者は大嫌いだが、
不倫した奴みんな降板!と言いたいかというと……そこまでは思わない。
そこまでは思わないが、やはり何も社会的制裁がないのは釈然としない。

というわけで、写真週刊誌とか芸能ネタとか無い社会が一番いいんじゃないですかねえ。
他人のプライべートな問題なんて、知らなきゃそれまでなんですよ。
ばれないようにやってください。

その冷や水ぶっかけられシーン以外は、これといって特筆すべきところがないような気が。
良くも悪くも。
今後がちょっと不安。

ナレーターが西田敏行ってのはいいのかどうか。
わたしは西田敏行好きだけれどね、「翔ぶが如く」もあるだろうけどね、
声だけ聴かせるには少々年を取りすぎたんじゃないかと。
最初に思ったのは「ああ、老けたなあ」だったし。

瑛太のキャスティングはどうなんだろう……。
「篤姫」で小松帯刀を好演しているわけですよ。まあ10年前っつったら10年前だけれども……
小松帯刀がそこまで大物じゃないだけに、信長を演じた役者が家康を演るとかとは
また違ったものがあるように思う。
わたしは「篤姫」見てなかったけれども、作品が二重映しになったりはしませんかね。
それは邪魔くさくはありませんかね。

まあ2回目がどうなるかだな。鈴木亮平が出た後。

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第2話。第1話を見たら安心して、2話目が放送済であることを忘れていた。

……もう最初のシーンから気に入らないわけだが。
だってこれって、どう見ても“実り豊かな田んぼ”にしか見えないわけで、
天気も快晴、桜島きれい、で幸せな日本の風景そのものなんですよ。
なんでこれで農村の悲惨を描けると思ったのかね?演出家はアホじゃないかね?

どの田んぼで撮影するかなんてことは1年以上も前から決まっていたのだろうから、
もっと貧弱な田んぼにするとか、もっと荒らすとか、天気をもう少し加減するとか、
やりようはあったと思うんだが。

それを「実らんのう」のセリフだけで視覚情報と全く違うコトにしてね、って言われてもね。
はー、やれやれ。作りが雑だ。
こういう細部がドラマを成立させるというのに。

糸さー、お父さんに確認してから雇えるとか言えよ。安請け合いするなよ。
まだシーンとして西郷どんが糸に「何とかならんもんか」「ほなうちで面倒みまひょ」という
流れがあってなら(なぜ関西弁)わからないこともないが。
会話の勢いでつい、ってことはあるから。
でもあれだと「なぜ事前確認を怠る!ぬか喜びさせるな!頭悪いんじゃないか!」としか思えん。
脚本がダメ。

調所がぺーぺーの下級役人に検見取の指示を独断で出すのもすごく変です。
失敗を予測したとしてもそんな大事なこと(税制の抜本改革ですよ)、言われてその場で
変更することなんて出来ないんですけど。

隠し田もなあ……。通りかかった役人があっという間に見つけられる場所にあるなら
そもそも隠し田じゃないよね。なんでこういう細部をないがしろにするか。
演出家は想像力がないのか?

唯一文句なく良かったのは、農民の女の子の演技!あれは上手い。すでに芝居。
こぼれた米のシーンなんかあの子のためにあったようなもんだ。
脚本で「桜島がきれい!この国が好きじゃあ!」とか唐突に叫ばされていたのはお気の毒だが、
いや、大人になったらけっこういい役者になりそうじゃないですかねえ。

あの子は今回で終わりかなー。出ても次回までだろうなあ。もっと見たいなあ。
大人の女優に変わったとたんがっかり、ということになりそうな予感……。
ドランクドラゴンの鈴木拓がお父さん役だそうだが、知っていてもそう見えなかった。

しかし実はこの女の子のところでも気になったところはあって。
あの不採用を告げられるシーンでね。
女の子の演技は大変良かったのだが、あの場合、横向きで話を聞くかどうか。

横向きで「……えっ?」っていう返事をするためには、突然糸が走って飛び込んで来て、
「ごめんなさい!ふきちゃん、家では雇えないの!」と開口一番叫ぶ勢いがないと。
でもその後に映った糸は静止した立ち姿だ。そもそも言いにくいことだし、
一刻を争う緊急性がないので、糸はむしろおずおずと入ってきて、口を開くまで躊躇いがあった筈。

その間に、何しろお武家の娘さんが入ってきたんですから、
普通はふきは糸へ「いらっしゃいませ」と向き直る筈。
横向きになっている筈がないんですよ。
現代日本の普通の生活で、訪問者があって横向きで応対するってのはありませんわな。
それすら出来ない突然の出来事としたいんだったら、糸の方の演技をもう少し考えないと。

ふきが連れ去られるシーンも、黒木華の地顔があんな感じだもんだから、
うれし涙に見えてしまった。笑ってるようにどうしても見えるんですよ。

こういうところが気になるんだから、わたしは多分このドラマに向いてないと思います。
3話は見るつもりでいるけれども、今後見続けられる自信はあまりない。
でも「真田丸」もつまんねーといいつつ一応見たんだから……
どうだろう。

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