まあ何しろ分厚い……。最初単行本で借りて、その厚さに目を瞠りながらも家に持って帰ったはいいが、
この分量を家読みするのはちょっと無理……。そして外読みするには重すぎる……。
結局ノベルズの上下巻で借りなおし、外読み&家読みしました。
ノベルズでも平均500ページですけどね。二段組みの500ページはなかなか減らない。
下巻の残り百何十ページかは気になって平日に家読みで読了したんだから、面白いミステリではあったんだな。
最近はめったにやらない。そういうことは。
まあこれだけ長いということは当然蘊蓄小説……と思ったが、哲学部分が話の軸になっているという意味で、
蘊蓄小説(これは軽い揶揄。蘊蓄には、あってもなくてもいいという意味を含めている)と呼ぶ必要はないね。
哲学部分がなければミステリ部分もない。こんなに長くて蘊蓄小説ではないという、かなり珍しい小説。
だがしかし、わたしは哲学部分は退屈でした……。当然のことながら。
まあそのへんはさらっと読んだ。そこの部分をしっかり納得した上で読み進められる読者は少数派でしょう。
でも本当に“哲学者の密室”だからなあ。そこはえらいよ。作者。
道具立てがよく考えられている。ユダヤ人収容所の三重密室と、現代の富豪の家の三重密室。
単純にミステリ的な解決はそこまでではないけれども、面白く読んだ。
だがナディアのキャラクター設定に若干不満があったかな。もう少し聡明でもいい気がする。
さらに、一人称の語り手で、愛する男を日本人と連呼するのは違和感があった。
普通に「カケルは~~した」でいいところ、わざわざ「日本人は~~した」と書いている。普通はそういう思考にならないと思う。
これは矢吹駆シリーズ4作目だそうだ。わたしはこれが初笠井潔。
綾辻とかより早い人なのかー。わたしは後だと思っていた。
矢吹シリーズくらいは読んでおこうか。これ以外はもう少し普通の(ここまでは厚くない)ミステリのようだしね。
![]() 哲学者の密室 ダッソー家殺人事件 (創元推理文庫) [ 笠井潔 ]
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