辻邦生のだいぶ最後の方のエッセイ集。体の具合が悪いことなんかもちょっと出てくる。
たくさんたくさん書いた人の晩年の本。
しかしこんなに書いたのに、重複をなるべく避けようとしているんだから頭が下がる。
小説ならまだしも、エッセイなんて体験・思考しかタネがないものでしょう。
人間の体験は絶対的に有限であり、思考もまたしかり。
もちろん重複が全然ないわけではないが、重複を避けようと心掛けるだけでも偉いと思う。プロだね。
この人のエッセイには奥さんの存在が頻繁に出てくる。
が、頻繁に出てくるわりに、キャラクターとしては希薄。どんな人かということは詳しく書かない。
書かないけれども、しっかりそこにいて……
なんというか、「半身」という感じなんだよなあ。ベターハーフ。
いつもこの人は奥さんのことをAと読んでいるが、名前は辻佐保子でAはつかないのになぜAなんだろうといつも不思議。
amiのAかな、とかamourかな、と想像しながら読んでいる。
図書館にある辻邦生はほぼ読み終わった。100冊超。
これから、全集をちょこちょこ拾い、その後辻佐保子さんが書いた本も何冊かあるのでそれも読んでみる。
佐保子さんが書いた本は辻邦生の思い出を書いた本と、彼女自身の専門であるビザンチン美術についての本。
時々、辻邦生のエッセイでも教会にレリーフを見に行ったなんて記述があるもんね。
妻から見た辻邦生の姿も楽しみである。
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