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< シネマ歌舞伎 スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース >

次代の猿之助の時はスーパー歌舞伎Ⅲになるのだろうか?やっぱり中車の息子が継ぐんだろうか?

「ワンピース」見たかったので、シネマ歌舞伎でやると見た時は嬉しかった。
見る気満々で、しかしやはり見るのはぎりぎりになるわたし。まあ今回は別に混むわけでもないので問題なし。

マンガの「ワンピース」は数年前に初めて読んだ。人から借りて、50何巻一気読み。
なかなか面白かった。しかし何しろオトナになってから長いので、さすがにそこまでハマりはしなかったが。

これを歌舞伎でやる!?でもけっこうイケるかもしれない。あのキッチュなスーパー歌舞伎の舞台と
「ワンピース」の世界観は一致するかも。
でも……50何巻のどこをどうやって1回の舞台にするんだ?

そしたら、物語はエースの死でした。
ここは実に上手いと思った。エースの死って、あんなにいいキャラだったわりに相当に
(ストーリーのバランスが崩れるほど)あっさりしてたでしょう。
このあっさり具合だと、いつか復活もある?と期待してたのに(←エース好き)、ほんとに死んでしまったんだもの。
わたしは実に不満だった。そこの話を作ってたっぷり見せてくれたのだから、大変ありがたいことでした。

でも実はこのシネマ歌舞伎、4時間の舞台を2時間半にしたダイジェスト版なんだってねー。
な~るほど。だから中途半端に映像を使ったナレーションが多用されてたのか。
このナレーション部分のためにわざわざ映像撮ったのかな?と対費用効果が疑問だった。
実際の舞台ではもっと長かったんだね。出来ればそのバージョンも見たいけど。
たしかに話はチョット、というところはあったんだ。

エースの死をメインに創作したのはとてもいい目の付け所だったと思うが、
それがゆえに、仲間がほとんど出てこないということになってしまった。ルフィの単独行なんですな。
“麦わらの仲間”は最初にお目見えをして以降、最終盤までほとんど出てこず。
ここは大変残念なところ。エースがたっぷり出てくるのはいいが、仲間たちも出してほしかったぞ。

チョッパーが途中ちょっと妄想の中で出てくるくらい。しかしチョッパーの扱い苦労したね。
最初はぬいぐるみとして出てきて(ウソップに声もあてられてる。腹話術師状態。)、
変身した姿は一応コワモテの役者がやって、そして普段の姿で色々台詞を言わなければならない場面は子役。
考えたな。子役は声がけなげで、泣かされた。

キャラクターとか中身をかなり忘れているので十全に楽しめたとは言えないが、覚えている限りにおいては楽しかった。
サンジ、ゾロ、ニコ・ロビンがそのままで良かった。ウソップもメイク面白い。
笑也さん、もう57歳で……相変わらずお奇麗ですねぇぇぇぇ。
白塗りの化粧をして奇麗な女形はいくらでもいるが、(若い頃の)笑也さんは素顔もさわやかで素敵。
そして女形として稀有な強みは。

声がいいこと。

笑也さんは、声がいいと言える唯一の(と言えるほど役者を知ってるわけでは全くないが。しかし玉三郎も声はダメでしょ)女形。
喋ると興ざめという人が多い中、顔も声も美しい。
引き合いに出すのもどうかと思うが、春猿さんは声が女形特有の嗄れ声で、古典ならまだしも、
こういう新作の舞台では少々つらい。しかも今回のナミの造型はかなりツライ。
あれでは花魁くずれというか、バーのマダム風である。
ニコ・ロビンが上手く造型されてるのに比べて、なんでああなっちゃったんだろう?
個人の資質じゃないよなあ。デザインチームの過失。

仲間の紹介が白波五人男風だったのは良かったね。これしかない!という形。

何より、福士誠治がかっこよかったですね~。
最初は気づかなくて、歌舞伎界にもけっこうカッコいい人がいるなと思ったら福士誠治だった。
歌舞伎の舞台で違和感なく、普通の芝居をやっていた。でも見得を切ったりのけぞりをやったりしてましたけどね。
そのバランスが良かった。まあ見得とかのけぞりはお遊びってことで。

そういう意味では猿之助のルフィも控えめでバランスが良かった。エースが主役だったね。
猿之助はルフィの明るさをよく出してたと思います~。でももう少し活躍しても良かったけど。

意外に印象が強いのが、市川右近 as 白ひげ。
そもそものキャラクターのデザインが歌舞伎っぽいのかもね。
見た感じほぼ歌舞伎キャラで、それでも話の中では全く違和感なく。
中車をめぐっては色々あるようだが(そりゃ色々あるよね)、とりあえず右近さんがスーパー歌舞伎の舞台に
出ていることは目出度いことなのではあるまいか。もう52歳か~。30代の頃の右近さんしか記憶にないわ。

わたしが歌舞伎をたまに見るようになったのは、ミュージカルにハマっていたころにたまたまスーパー歌舞伎の舞台を見て、
「これ日本のミュージカルじゃん!」と思ったのがきっかけ。
なので猿之助およびスーパー歌舞伎には親近感がある。陰ながら応援しているのである。
今後もがんばって下さい。

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