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◆ イチ押し収蔵品 主役・わき役キャラクター大集合! ―ゆかい★ほのぼの★お化けも登場―

仙台市博物館の企画展。特別展じゃなくて企画展。通常料金(常設展の値段)の400円で見られる。
やっぱり通は、特別展だけじゃなくてこういうのも見ないとね。
……というシタゴコロで見に行った。いや、そういう下心はここ数十年ずっと持っていたんだけど、実際に行ったのは2回か3回。
まあ通じゃないですから。

そしたらこれが期待以上に!面白かったのでした。けっこういいの持ってるじゃん、仙台市博物館!

これでもかというほど並べていた。屏風、掛け軸、土人形、浮世絵、陶器。
やっぱ見せ方だよなー。今回は夏休みということもあって、子供目線の展示を意識していたようだが、それが良かった気がする。
別名のつけ方で和む。

えーと、メインは何かな。やっぱり数として多いのは江戸末期~明治期にかけてのこちゃこちゃした浮世絵かな。
浮世絵というと、一般的にはバストショットの役者絵とか美人絵とかのイメージが強いと思うけど、
そういうブロマイドとしての浮世絵じゃなくて、風俗・イベントとしての浮世絵の方が多分数としては多い。

いっぱいありましたよ。
お祭りとか芭蕉の辻の様子とか、宴会芸の影絵(けっこう変態な)、怪談あり、水滸伝あり。
大宮司雅之輔コレクション?というのが多いみたい。阿部次郎コレクションもあった。
全体的に色もキレイに残っていて、すごく状態がいいの。

こういうのは読むタイプの浮世絵だから、ほんとに見ようと思えばけっこう一枚当たりの時間がかかる。
なので疲れて、全部満足に見られたとは言えない。出来れば座り心地のいい椅子で足を組んで図版を見たい感じですね。
心残りがある。

けっこうみんな面白かったので、とりわけこれというのを選ぶのが難しいのだが、完成度では、
南総里見八犬伝の一場面、犬塚信乃と犬飼現八が大屋根の上で戦っているところを描いた
月岡芳年「芳流閣両雄動」。
縦長の画面に大屋根のラインがきれい。こんな真っ赤な壁はないやろと思うが、この赤がいい。
月岡芳年は構図が素晴らしいね。かなりグロ寄りだが、基本的にはなんでもござれの画家。今回も本当に数があった。

あと珍しいもので、「前鬼流剣術巻」。剣術の秘伝書らしい。色々な技が図解されてるんだけど、その人間がまるで
モデュロール兄弟というか……(詳しくはテレビ東京の「美の巨人」をご覧ください。)
造形がモダン。ついこないだ描いたと言われても違和感がない。

あとは日本画の東東洋(あずま・とうよう)ですかねえ。

仙台藩御用絵師4人のうちの1人。
ずっと前に東東洋の特別展を仙台市博物館でやったことがありましてね。
これは良かった。その特徴的な名前とともに印象に残る。まあそんなに画風とかは覚えられないんですけど。

今回もわりあい数が多かった。柔らかな絵柄で見てて気持ちがいい。
「富士・足柄山・武蔵野図」の三幅対の掛け軸の、山も野も可愛いんだけど、なにしろ鹿がカワイかった。
次男の東東來(あずま・とうらい)の鹿はさらに可愛げがあったな。角突き合わせてる図なんだけど、けんかしてるように見えない。
童画の世界。
「花鳥押絵貼屏風」も良かった。鶴可愛い。木蓮可愛い。梅可愛い。線が温かい。
「夕陽人影長」(ゆうひひとかげながし)は、とぼとぼとしたおじいさんとその影をちょこっと描いている。自画像か。
テーマからすれば悲哀であるべきだが温かみがある。

伊達吉村の「閖上浜御仮屋十二支額」。
何しろ藩主ですからね。絵の上手い人だったんですよ。殿さま芸でここまで描ければ相当じゃないかな。
A5かB5くらいの板に直衣のような衣を着た人間型の十二支が描かれている。イメージとしては六歌仙とか百人一首とかのポーズ。
なんで十二支をこう描こうと思ったのか……。

数少ない陶器で、「切込焼 染付唐子寿老人図徳利」も良かった。
唐子ですから、一応中国風の髪型とかなんだけどね。
3人の童子が、いかにもその辺にいそうな顔をしていて……和んだ。

とにかく小品ながら、すごくたくさん展示数があったからね。
後半は疲れて、さくっとしか見られなかったので、見残した感あり。
暇だったらもう一度見てもいいくらい。400円だし。空いてるし。
でも8月28日までだとどうだろうなあ、ちょっと行ける日がないかもしれない。

企画展とは別に、仙台城の障壁画とか武具とか飾ってあって、こっちもけっこういいもんでした。

「檜図屏風」。障壁画が銀が古びて、全体的に色が汚くなってしまっているんだけど、これは檜の緑がきれい。
檜の葉の細密描写。緑色の濃淡がきれい。

「太刀 金象嵌銘 貞次/本阿」
長さのバランスといい、反りといい、ギラギラしてない上品な美しい刀。派手な刃紋がないのもいい。

「鼈甲半弓」
小さめの弓。弓はあまり展示品として見かけない。珍しい。こんな金のかかった弓は初めて見たわ。
鼈甲が前面に貼られていて、同系色の糸で縛ってある。美しい。

「茶猪毛靭」
ちゃいのげうつぼ、と読むらしい。靭(うつぼ)=箙(えびら)=矢筒(やなぐい)=靫(うつぼ、ゆぎ)だそうだ。
別名がありすぎてなんだかよくわかりません。要は矢を入れて背負う道具らしい。
わたしは靫をユキとして覚えていた。そして箙は鎧の一部だと思っていた。
たしか平家物語の那須与一の場面に、平家方も箙を叩いて喜んだ、と書いてあったでしょう。
鎧の腹の辺りのどこかを叩いているところをイメージしていた。矢入れを叩いていたんですね。

しかしこれは猪の毛で出来た、……どう見ても矢を入れておく道具には見えない物体。
例えて言えば、見たところ剛毛で出来た巨大筆。あれのどこから矢を入れるんだろうなあ。それに相当に重そうだ。
無駄に重量があって、これを持ってわざわざ戦場に行かなくてもいいような気がする。
飾りの組み紐の巨大なこと。紐部分だけでも重そうに見える。
その違和感が目についた理由。

けっこうな満足感。400円でここまで楽しめればお得。
まだ先だが、斎藤報恩コレクションの企画展も見に行くつもりでいる。

昔、プラザホテルに隣接して斎藤報恩館という建物があり、小さい頃に数回行った記憶がある。
ちょっと子供には地味な展示で楽しめなかった気がするが、そこで売っていた「さざれ石」なるものを2回くらい
買ってもらったのがいい思い出。さざれ石は、イマドキのパワーストーンの類ですね。紫水晶とかローズクオーツとか、
名前がわからないあれこれが不整形のまま、ちょっとした量をまとめて小袋に入れて売ってたの。
子供にとっては宝石みたいなもんで、お宝でした。きれいだしね。

雪舟展をどうしようか……あまり惹かれないことは惹かれないんだよなー。
まあよっぽど暇だったら考えよう。

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