14巻は評論・随筆集で「別れの歌」「夢のように」「遠くのこだま」を収録。
「別れの歌」はこないだ単独で読んだ。
その時は最初は好印象で読み始めたのだが、終盤は内容に飽きて評価がが下がった。
しかし今回読んだ「夢のように」と「遠くのこだま」は面白かったので印象が上を向いた。
まあ地道なエッセイですけどね。
偏屈な人柄が偲ばれて親近感を持つ。エッセイは人生の達人としての立場で書く人も多いが、
この人はどっちかいうと自己卑下系。卑下というほどではないけど。
この人の芸術論・音楽論が好きだな。
基本的にそんなに難しいことは言ってない。その気になればこめんどくさくじっくり書く人なんだろうけど、
随筆というフィールドではそんなに細かくは書かない。
「バイオリンは内省的」という一文があって、妙に共感した。そうかー。内省的かー。なるほど。
でもまあ、曲にもよるよね。
ちなみに難しくて文学論にはついていけそうもない。
驚いたのがモスラ。中村真一郎と堀田善衛と福永武彦で脚本?草案?を練って作り上げたものらしい。
マジすか。相当に豪華?な顔ぶれ。まさか怪獣をこの3人で考えてたとは思いませんでしたよ。
どうしてそうなったのか、(若干の経緯は本で書かれているけれども)さっぱり想像出来ない。
今でいえば……今でいえば……いかん、例えようと思っても全く作家の名前がわからない。
読みませんからね、今の作家をわたしは。
病弱で出不精で寝てばっかりいるそうだが、意外に旅の話が多い。
本人は「旅になどめったに出ないのだが」と事あるごとに書いているので、旅好きなのかどうなのか
定かではないが、旅の随筆にいいものがありますね。
毎年の軽井沢滞在も、日常と言えば日常だが、旅と言えば旅の体験。
この人の、全集の後半の巻は随筆・評論を集めたものらしいが、それは全部読んでもいいかなー。
全小説を読むのはちょっとあれかもしれんが。「風のかたみ」も悪くはないけど、インパクトがなかった。
新潮社
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アマゾンの売り上げランキングで100万とかいうのは初めて見た気がする……
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