このタイトルを「ダレカレ」と読むのは止められそうにない。
だってそういう話なんだもの。ダレカレ?ソレダレ?カレソレ?みたいな。
わたしは面白く読んだ。近年めっきり記憶力が衰え、短期記憶でさえも全く自信がないので、
一番大事なあの人間関係をがっちりつかんだ上で読んだのではない。
まあそこをあんまり強調しちゃうとむしろダメか。でももう少ししっかり書いてもいいかもな。
ただでさえ綸太郎の推理が迷走してわやくちゃになるのに……
まあこの迷走も含めてミスリードなんだろうから、しょうがないのかな。
ここは好みが分かれるところだろう。探偵役がミスリードに参加するのは、
たとえていえば、舞台で役者が演じながら大道具の仕事もしている、というかっこ悪さがある。
そういう意味でかっこ良くはないかも。
枝葉をとっぱらってすっきり書いたら、けっこうな名作になったかもしれないと思うが……
でもこの人、そういう作風じゃないっぽい。しかもこの話であんまり枝葉を取ると、
それはそれで趣きがなくなるというか。この親子揃っての混沌ぶりも味だと思うので。
ただ、“枢機卿”なんていうキャラは不要だったよね。まったく話に寄与してないと思う。
綸太郎が毎回、大したことない女にコナをかけるのもちょっとどうかと思うし……
この作者、キャラクターは全体的にあまり魅力的とは言えない。
出来るのであればもう少し何とかした方がいいような。
ただ、ええ加減詰め込むだけ詰め込んだ感のあるパズルは新本格として満足。
新本格は詰め込んでなんぼ、という気がする。まあ理想を言えばもう少しスマートに詰め込んでくれたらと
思わないこともないが、その辺は笑ってユルす。
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