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◇ 支倉凍砂「狼と香辛料 1 2」

たしか本屋さんだったか書評家だったかが、「ライトノベルで初めて面白いと推薦出来る本」と
書いていたのを見たので読んでみた。

うむ。まあ。

舞台はヨーロッパ中世をベースにしたファンタジー世界。
主人公は町から町を渡り歩く商人。商人としての狡猾さは若干あるが、基本的にはお人よし。な若者。
その道連れになるのは、見た目は美少女、正体は“賢狼”(何百年も生きて、人間よりも知能は高いらしい狼)。
2人で旅をしていく話。

なにしろ2巻しか読んでないからアレですけど。2巻分のことだけで言う。

ライトノベルでファンタジーといえば剣と魔法が必須、というイメージがあるが
この作品はその賢狼という設定がソレっぽいだけで、基本的には旅をする商人の話。
なので、物語の核は商売の話で、そこは新しかった。
だが、1巻の話は目新しさもあってそこそこと感じたが、2巻目の密輸の話はちょっと安易で。

羊に飲み込ませて密輸というアイディアにしても、それが粒金であるならその後の始末は相当に面倒ですよ。
糞をするのを待つしかない。全ての羊が出し切ったという確認がとれるものでもない。
街の中で羊の糞を拾って歩いて戦々恐々としていたら、すごく目立つと思うんだけど。

羊飼いってオーナーである場合と雇われの場合とあると思うんですが、この話では羊を預かっているだけですよね?
持ち主がいるならそっちに返さなくてはいけないし、
羊の群れを連れて羊飼いが町に入るのは、基本、返す時預かる時なんじゃないかなあ。
羊毛か肉ですよね。あー、乳も取るのか?そうすると毎日返したり預かったりか?
返したあとに金の糞をしたらオオゴトだと思うんですが。
まだ一頭だけにダイヤモンドの類を飲み込ませる、的な方が納得が出来たかな。

経済という根幹部分を、経済に詳しい人が工夫して書いてくれたらだいぶ読ませるものになるのになーと思った。
欲を言えば、ヨーロッパ中世経済専門の学者なんかがブレーンになってくれるとね。
ギルドとか通行税とか貨幣経済とか、実は面白いエピソードが色々眠っているんじゃないだろうか。
話に厚みがないので物足りない。

まあ経済の部分は飾りで、作者が書きたい&読者が読みたいのは主人公と雌の賢狼のじゃれあいなんだろうけど。
――しかしそうなると、相当なオトナが17巻も読んで行くにはちょっと辛い。というわけで、2巻で終了。
悪くはなかったです。多分マンガで読む方が面白そう。

ああ、ただ文章はやはりツライかな。
賢狼の言葉づかいがそれっぽく書いた花魁詞になっているのが一番イタイとこだが、
どうしてライトノベルってライトノベル臭が漂う文章なんでしょうね?
そう書かなきゃあかんもんでもあるまいに。いつもライトノベル臭がどこから来るのか、
繰り返し文章を読んでみたりするけど、よくわからない……。一様にくどい。ということだろうか。

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