このタイトルで「果たして青いバラは美しいか」という問いかけを冒頭に持って来たのはさすがと思ったが、
読み終わってみれば全体的には少々不満が残る。
青いバラ、といえば遺伝子操作の話が避けて通れず、むしろその辺りのコムズカシイ話を
素人向けに料理してくれるのかなあと期待していたのでね。
遺伝子操作の説明は出て来るけれど、引き写し感が強かった。
まあ専門家でもその辺をわかりやすく説明するのは困難だと思いますが。
テーマは青いバラというよりも“青いバラに取り組んだ(主に日本の)人々の歴史”。
ちょこちょこ豆知識的に面白い部分は数多あったが、全体的にはなんというか、固有名詞が多すぎた。
近代史だから資料は多くて、しかも流れを説明するなら固有名詞を避けては通れない。
通れないから羅列のような書き方になってしまって、非常にシンプルに言うならば
「漢字多すぎ!」と言いたくなった。
個人名とか団体・会社名とか、けっこうずらずら並ぶんですよ。
この本は日本のバラの父、鈴木省三のインタビューを大きな一つの柱としている。
おそらく読み物としては鈴木省三の評伝として書いた方が面白かっただろうな。
ただ、読んで面白いだけが本の価値ではないんだろうと思うので(わたしは読んで面白いだけのものが好きだが)
きちんと調べて書くこの人のこのような本も、やはり書いておくべき本なのだろう。
図書館で資料として保存して意義がある本。
![]() 青いバラ [ 最相葉月 ]
|
コメント