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< ちかえもん 全8回 >(ドラマ視聴)

いやー、面白かった。
1話から面白かったです。いろいろ工夫があるドラマだったね。

近松門左衛門の話で、竹本座から話が始まる。
北村有起哉が竹本義太夫役。今から考えると、これはよほど北村有起哉を信頼してないと出来ない演出ですよ。
彼の義太夫節から始まるんだからね。北村有起哉があまりにも自然にやっているので、
わたしは6話まで、そのすごさに気付かなかった。けっこうすごいことですよ。たっぷり聞かせていた。

松尾スズキが主役ってのは珍しいね。そしてむしろ常識人(……ともいいにくいが)なのは珍しい。
万吉が突き抜けてるからなあ。
万吉の造型は面白かった。青木崇高があのガタイであのキャラクターというのは新しいと思う。
雰囲気としては小学生がそのまま大人になった感じ。
そして最後にちょっとした種明かしがあって(まあそれはそれで仕掛けなんだけど)
そういうところもいいなあと思う。

優香がとても良かった。わたしもこういう人に癒されたいと思った。役に合ってたね。
早見あかりなる人が重要な役をしている。今すぐではないけど、今後もしかしたら化けるかもしれない女優さん。
今回は花魁役で、化粧が厚いので普段の顔はよくわからない。
普通のテンションの芝居はまだかなーというイメージだけど、キレ場面の迫力は相当あった。
まだ20歳ですからね。ちょっと要注目。

いうたら小池徹平がやはり少々役者不足……。ばかぼんぼんの雰囲気は出せるんだけど、そこ止まり。
キャリアも相当積んだので、もう一押し深い演技をお願いしたい。
でも深い演技、浅い演技、というのは天性のものが大きい気がするね。

毎回の松尾スズキが歌う往年の名曲の替え歌も良かった。面白かった。
線画アニメも上手く使ってたし、茂山一家による忠臣蔵の人形振りも面白かった。
「と、そんな陳腐な言い方はわたしのプライドが許さないのである。」の言い方が毎回で、
それがまた陳腐なのも面白かった。ドラマも黎明期から数十年経って、細かい細工をするようになりましたな。

最終回は、「痛快娯楽時代劇でこんな展開あらへん」とちかえもんが言っていたので安心していたのに、
お初と徳兵衛が死んじゃって……。どうしようかと思った。
そして「曽根崎心中」が出来上がって。今までこのタイトルがわたしの中で個別化されたことはなかったが、
今見ると心が切なくなる。

最後の表と裏を見て、もちろん撮ったのは別々に撮ったんだろうけど、巧いなあと思ったなあ。
笑えるところが。岸部一徳さん、さすがです。
話としては無理があるけどね。

キャスト・スタッフ、いいお仕事でした。
話的に続編は作れないと思うけど、再放送はちょくちょくしてほしいです。
今回のスタッフで、また別なドラマを作ってくれてもいいよ。音楽の宮川彬良さんも忘れないでね。

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