絵柄のきれいさが衝撃的。特に風景が。風景を見ているだけでうっとりする。
46分の短い映画。アニメーション。こういうのを見るとアニメも芸術だなあと思う。
ここまで自力で持って来ることが出来るのはアニメの強みなのかもしれない。
風景の美しさという意味では、息を飲むような自然の美しさに圧倒されることは多々あるけれど、
それはあくまであなた任せ。自然が自らその姿を見せてくれなければ、
それに行きあわなければ、絵として持って来られない。
そういう意味で、ここまで緻密に作られた風景描写は凡庸な現実を越えたと言える。
(卓越した現実風景はやはり卓越しているが。)
なんの変哲もないといえばなんの変哲もない、雨の公園の風景が一々美しかった。
濡れたウッドデッキ。緑の木々、水面の表現、葉の揺れ方、水滴が流れる車窓のガラス。ピンクの藤。
ありがとう!と言いたい。監督、ありがとう。作画のみなさん、ありがとう。
美しいものを見せてもらった。
だがストーリーがなー……。特に後半。
大変残念に思う。なんで見ず知らずの人間同士じゃいけなかったか。
最後まで現実の関わり合いはない、何も背負わない人間同士の、何も言えない、何の展望も約束もない、
存在だけの、愛じゃない形で終わって欲しかった。
あんな風にしちゃうと、2人の関係が途端に陳腐になると感じた。
倫理的にどうなんだというところが気になっていたら、
たとえどんな美しいものを見せられてもその世界には入り込めないよ。
あとキャラクターデザインが普通。というか、ジブリの「耳をすませば」を大人っぽくしたような
キャラクターだと感じてしまったので、監督がジブリ出身じゃないことの方に驚いた。ジブリっぽすぎる。
でも人物の“アニメキャラ”じゃない表現って、そうそうバリエーションがないのかもね。
風景だけを目当てに見て吉。話はもうちょっと頑張って欲しい。前半は好きだったけどなー。
主人公はせめて18歳にしましょう。見た目も老けてるし、進路を考えるシーンもあるんだから問題ない。
むしろ15歳ってだいぶ後半で知ってびっくりしたよ。
雪野さんはせめて25歳にしましょう。
そうするだけで、少なくともわたしのなかでは話の無理感がだいぶ減る。受け入れやすくなる。
Huluにて視聴。
(配信番組は随時変更があります)
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