仙台市博物館にて6月21日まで開催中。
仙台市博物館リニューアルオープン後、一発目のエキシビ。……だよね?
予想よりはわずかに小粒。数も少な目。しかし不満はなかった。
あのくらいの展示数の方が、小物を持ってきて数を増やそうとするより印象がいいですよ。
タイトルの「吉祥天女が舞い降りた!」は最初はどうかと思ったけど、
よくよく考えてみると明るくていいかもしれない。
……が、実際のブツはというと、とてもちっちゃかった。縦1メートルくらいはあるイメージだったがその半分。
加えて褪色が相当進んでいて、ブツとしての迫力はあまりなかったなあ。
秘仏で、公開は毎年正月三が日だけだそうたから、ガラスケースごしとはいえ、間近に見られたのは
希少経験だろうけど。映像で再現されてるピンクの色が可愛かったな。
衣装の布のデザインがエキゾチックで素敵。
中どころながらも良いブツがいくつか来ていた。
重要文化財の「四天王立像」(これだけで特定できるのかあれだが。薬師寺あたりになると重文の四天王像なんて
複数ある気がして……)も小さ目の造形ながら良かった。
ブツ好きなので、ちゃんとしたものを見るとテンションがあがる。
なぜか地蔵像だけをまとめて持って来たらしく……6体ですか?ありました。
どうも地蔵は仏像彫刻の中であまりハバが利かない印象があるが、
その中の桃山~江戸期の小さい地蔵菩薩像が良かった。
高さ30センチくらいかな。頭で見るタイプのわたしは、鎌倉初期以降の仏像彫刻で良い物は
あまりない気がしているのだが、これは何だか妙に気に入ったねえ。顔もすっきりしていて良かったし。
何よりも截金の精密さが。時代が新しいだけにきれいに残っていて。
超絶技巧はテンションが上がる。
奉納散華も、わりと見ていて面白かった。
初っ端、アンパンマンとあしたのジョーとちびまるこちゃんが並んでいるのを見た時は、おいおいと思ったが、
あとはそんなに奇天烈ではない、概ねに日本画。でもそんなにかっちり縛られていない気がして、
力の抜け具合が良かったな。
30くらいあった中で、
上村淳之「瑠璃鶲(るりびたき)」(椿の紅が和菓子的な色合いで美味しそう)
小泉智英「竹の抄」(金色の竹が素敵)
竹内浩一「白い鳩」(渋めのパステルカラーの色合いと鳩の白)
なんかが目についた。
能満寺の「虚空蔵菩薩坐像」と薬師寺の「文殊菩薩坐像」の関連が大変気になった。
衣装や姿勢を見れば関係ない二体では絶対にないけれども、
対として作られたにしては、わりに違いが大きい気がする。能満寺の方がラインが素朴。
頭飾りや金箔の残り具合に幻惑されているせいか、どうしても晴れの仏と褻の仏というように見える。
頭飾りは紛失することはあるだろうけれども……
たしか9世紀~10世紀と書いてあった気がするので、これはミステリーですよ。
もっと時代が下がって1100年代なら、いわきには藤原氏の女性が嫁に行って白水阿弥陀堂を作ったりしているので、
それほどの疑問はないが、それよりはるか前のことでしょう。
その頃のいわきの状況はわたしは全く知らないが、有力な豪族がいたのだろうか。そして奈良仏師。
詳しいことを知りたい。調べゴコロがうずく。
そしてなんといっても白眉は「聖観世音菩薩立像」。
最後に展示してあって、コーナーを曲がったところで視界に入るので、
「うおっ!来た来た!」という感じでテンションがあがる。
いかにも薬師寺の仏という艶のある黒。これは安定の一級品です。
いいブツはいいねえ。気分がハレバレするわ。
去年奈良に行って、そのあと2ヶ月くらい晴ればれしていたので、
また行けばいいのだろうかと思っている。
でも奈良ばっかり行っててもなー。他にも行きたいところあるしー。
近場でいいブツがもっとあればいいのだが。平泉まで行かんとあかん。
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