ドラマを見てないので、脇役で立場がよくわからない人もいたけど総じて面白かった。
わからなかった人筆頭は田中麗奈。
お父さんの看護師って、専属看護師でもないなら、看護師さんに一患者さん相手に将棋を指している時間はないでしょう。
そして看護師ってだけならあそこまで法事について突っ込みを入れるのはやはり違和感。
いくらおせっかいっていってもさ。新垣結衣のところに行くことなんか、職業倫理上、むしろどうなのか?
病院の看護婦さんがいきなり家に訪ねて来たら、恐怖かも。
黒木メイサもわからなかった。阿部寛との関係性が。なぜ「お前」なのか。
向井理もなんでポスターだけでちらっと写ってるのか。まあこの辺はわからないでもいいところですね。
今回初めて、黒木メイサが前面に出てない黒木メイサを見た気がした。
今まで(と言っても、あまりテレビドラマは見ないので、「TAKE FIVE」と
「ブラック・プレジデント」でしか見たことはないのだが)、役柄ではなく黒木メイサとしてしか見られなかった。
どちらも気の強い役のせいか。今回はちょっとしか出ないしね。
もしかして荒川静香と似てる?今さら。
わたしに褒められても別に嬉しくないだろうけど、阿部寛もなかなか味が出てきたんじゃないでしょうか。
そもそも好きでした。モデル出身で超二枚目のわりに脇役や時代劇が出来るのも気に入っていた。
でも味という意味では、総じてイケメンは非イケメンに、モデル出身者は舞台出身者に数歩を譲る。
だが今回の阿部寛はビミョ~な表情を浮かべていたと思う。もうちょっとで味になりそうな何か。
いい感じ。
阿部寛、50歳なんですって……。あのカラダで50歳って。
なんかもう何を信じてよいやら。見た目ってもう基準ツールじゃない。
あとは20代半ばで高校生役を演じた松坂桃李にがんばったで賞。
松坂桃李も「TAKE FIVE」と大河でちょっと見て、ちょっといいかな、と。
この人もモデル出身なんですね。出来ればいい作品に巡り合って欲しい。まあこれからでしょうけれども。
新垣結衣を初めて見たが、なかなか良かったと思った。
が、薄幸の美少女(?)という役柄はそんなに難易度が高くない。今後幅が広がっていくか否か。
ちょっと嬉しかったのは柄本時生ですかね。
あの濃い顔を見られて満足。……しかしわたしは兄と弟を混同していたことに気付く。
ゲゲゲは兄の方なんですね。あのご家族は顔が似てますね。
東野圭吾は何冊かは読んだけど、すごくウマい作家ですよね。それは思う。
しかしウマいのがウマすぎるというか、もう方法論をわかり切って書いてるようにも感じて。
今回の話もすごくアクロバティックで、でも彼の筆力ならきっと巧くまとめちゃうんだろうなあ。
そして、映画はそのアクロバティックな話をよく映画としての話にまとめた。
脚本尊敬した。櫻井武晴なる人。……この人、刑事ものばっかり書いてるのね。
ここまでジャンルに特化した人も珍しいのではないか?
脚本、尊敬したけど、しかし……話に乗り越えられない点が二点あった。三点か。
ネタバレ。
家族の距離をテーマにした話で、父と子は水泳の話題以外では会話もないほど離れてるのに、
そういう親子関係で、息子の部屋に勝手に入り、勝手にパソコンを使うということはほぼ有り得ないと思う。
ここを地道に説明してたら尺が長くかかって仕方なかったろうけど。
そしてその状態で、桃李が一個人のブログにアクセスし、女性と偽ってコメントを残しているなんてことを
一瞬にして知るのは神業。まあこの部分はコメント欄を開けっ放しのまま、桃李が不用意に風呂に入った、
ことにしてもいいけど。それでもその内容を読むのは、「倫理性の高い父」としてはどうかと思う行為。
そして水泳部を止めた理由については、後輩の事故の件でブログのコメントのことを知ったところで、
そこで自分の息子に犯罪のニオイを嗅ぎ取るか……。
「ショックだったんだろうな」「陰ながら励ましてるなんて優しい子だな」とそこで思考停止して良くない?
どこから自分の息子が犯罪に関わってるなんていう妄想が出て来るんだろう。
発想の飛躍を感じる。もっと何か理由がなければ。
息子に訊く勇気がなくて息子の友人を呼びだす。
その行動に疑問を抱く。何を根拠に。
そもそも息子の友人の連絡先なんてそうそうわかるもんじゃないだろう。
普通のマジメな人が身分を騙って未成年を呼び出す。……もうそれだけで犯罪な気がする。
普通の未成年が、いくら過去の悪夢と対峙する場面でも、ナイフを携帯しようと思うか。
そういう暴力傾向がある少年だと描かれているのなら別、彼は普通の少年でしたよね?
まあ普通の少年がナイフを持ち出すんだからコワいね、って話かもしれないけどそういう描写でもなかった。
この話は、「意外な犯人」という意味では見事だけれど、その超C級を決めるがために後半綻びが出てきた。
文章なら描ける部分も、時間に制約がある映画ではなかなか描ききれない。
現実的に出来るところまで最上の努力をしたと思うが、結果は最上とまでは言い切れない。
でも面白かったですよ。今後、シリーズもんが出たら(出たのに気づくことが出来たらテレビで)また見る。
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