PR

フィギュアスケート GPシリーズ 中国大会 2014 男子

ショート。

ショートはミーシャ・ジーが素晴らしかったのではなかろうか。

昨シーズンのオリンピックで見たのが唯一で、しかもその時17位なんだから、
普通ならまず記憶に残らない選手だが、彼の印象は強烈だった。
その時のイメージで(若干色物が入っているかもしれないけど)表現力特化型だと思っていた。
しかし今回はジャンプがきれいに決まったねーっ!見入ってしまう出来。
解説の佐野さんが言ってたけど、ゆったりした曲調でステップを細かく刻むのは難しいんだって。

シニア初参戦の田中刑事。この人の名前は、正義感の強い人になることを狙ってつけられたそうだ。
……うーん。まあわたしは読める名前にはそれほど厳しくはないですが。
滑りは堂々としているけどジャンプが決まらなかったからなあ。決まれば映える、大きなジャンプだろうけどね。

ナム・ニューエンが相変わらず達者。軽々。楽しそう。
閻涵は……ジャンプ乱れてるなあ。選曲と振付は面白かった。去年よりも全体的に上手くなった気はした。
……しかし、暫定一位の演技ではなかった気がする。
ドーンブッシュ。コレオのステップが大変良かった。
コフトゥン。2回の4回転は偉かったものの、これでも暫定一位の演技ではなかった気がする。点数出過ぎ。
じゃあ誰なのかというほどのこともない。みんな失敗してたからなあ。

ユヅルは、途中まではいつもユヅルだったんだけどな。
ショートでコンビネーションが入らないなんて……いつ以来?それで2位なんだから、点数は出過ぎな印象。
佐野さんが「長いなあ」と言っていたのは、イーグルの、蹴らずに滑っているその長さなんですね。
わたしはイーグルが(特に本田武史の)
好きだが、イーグルがきれいに出来るというのは、
スケーティングが良質だいうことなんですね。地味な技だけれども。

※※※※※※※※※※※※

フリー。

わたしは映像を一日遅れで見たので、その間に話に聞いていたよりも、映像の衝撃度という意味では
想像よりひどくはなかった。

ユヅル――――――。

何も言えない。
ただ願うだけだ。今から時間が経って、今回の衝突が、アクシデントの1つだったと言えるようになることを。
何事も起こりませんように。ユヅルにも閻涵にも。今後のフィギュアスケートの歴史を作って行く人たち。

※※※※※※※※※※※※

田中刑事。ジャンプが決まると重厚さが映える。体もがっちりしてるしね。
フリーは6位だったじゃんか!これを揃えてくれば中どころにつける。

わたしは全日本選手権で田中を数年見ていて、正直世界のトップレベルまで、とは踏んでいない。
しかし22歳でようやくでてきてあっという間に世界のトップクラスになった町田や、
16歳からずーーーーーーーっと待ってて23歳で今回ようやく会心の演技を披露した無良くん、
ずっと好きだったけど、最高でも世界5、6位の選手だろうなあ、と思っていたデニス・テンが、
いつの間にかオリンピックで銅メダルをかっさらうようになったことを考えると、
男子22、23歳でもう一山伸びる時期が来るようだ。

目の前のことに全力投球することも大事だが、より遠くの目標を見失わないことも大事。

まあもう一つ言うとしたら、インタビューはもう少し明るい表情で受けるように。一般受けがだいぶ違うと思われる。

ミーシャ・ジーは、オリンピックでの色物感(という記憶がある)は影をひそめ、
ごくスタンダードなプログラムと見えた。ジャンプも安定していたしね。見入ってしまう出来。
コレオも良かった。最後、氷を叩いて喜んでいた。

ニューエンも、出来としては相当にいいが――いつもと比べて体は固かったし、表情も暗かったね。
目の前で交通事故を目撃したようなもんだろうから――しかも羽生は相弟子だし――それでも動揺せず、
ミスなく滑れたのは偉い。
後半は彼らしい軽やかさが戻ってきていた。

ドーンブッシュ。前半は良かった。後半崩れた。ノーミスならば相当に映えた演技であろう。
閻涵。転び方がおかしかったな。頭ぐらぐらだろうに。
コフトゥン。精彩を欠いたとはいえ、この人は調子の悪い時はこんな感じ……。

ユヅル。ジャンプ以外はいつものユヅルの水準を保っていたと思った。
ただやっぱり2位の演技なのかは疑問はある。

衝突から救護スタッフが行くまで、だいぶ時間があったように見えた。長かった。
その間本人たちは氷の上。「誰か助けに行ってやれよ!」と思った。
体も冷えるし、その間に取り返しのつかないことにならないかと。
フィギュアなんて医者常駐だと思ってたんですけどね。ユヅルがアメリカチームの医師の治療を受けたそうだから、
日本も医師を帯同してないんですよね。
まあオリンピックほどの規模なら別、グランプリシリーズは自国選手がせいぜい4、5人だということもあろうが。
しかしスケート連盟の役員とかはうじゃうじゃ行ってるんだろうから、それよりも医師、と言いたいけどねえ。

というより、より現実的なのは、開催国の救護体制だ。日本ほど金を持ってて選手も多く出す国なら
帯同も現実味があるが、選手が1人しか出ないような国まで帯同は出来なかろう。
ぜひこの辺は6大会の基準化を行って欲しいところだ。

凍りついたような大会の雰囲気のなかで、

織田は「怪我だけはないように……」とつぶやく。……これ以上の、という意味であることはわかるが、
とりあえず「もう怪我してるっちゅうねん!」と突っ込んどいた。

佐野さんは「しかしまあ、今回の男子はみな漢でしたね!」
……わたしは佐野さん、憎めないながらも解説はスタンダードな本田武史がいいなあ、と思っているわけだが、
この台詞には和んだ。

その後、続報が流れて来て、今のところユヅルに大きな怪我は発見されてない。
全治2~3週間とのことなので、NHK杯は――絶望か、と書いてある記事もあるし、
今後の様子を見て、と書いてある記事もある。

まあわたしは無理をしてほしくはありませんよ。ここはまだ、選手生命をかける場所じゃないと思う。
幸いなことに、後に残るような怪我には今のところなっていないようだし、
オリンピック後の1年に気合いを入れていたのはわかるけれども、
与えられた休養の年だと前向きにとらえて欲しい。
わたしは、体力的にも、モチベーション的にも、来年リセットでもいい気がするんだよ。

何にせよ、ユヅル。体を第一に考えてくれ。

コメント