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< おかえり、はやぶさ (テレビ視聴)>

こないだ「超高速!参勤交代」を撮った本木克英の監督作品。
テレビでやっていたので、録画して見てみた。

「超高速!参勤交代」で相当ハードルが上がっていたし、
はやぶさに関しては川口淳一郎のインタビューとかドキュメンタリーとかがあるわけで。

正直ドキュメンタリーの方が面白かったよ。
ドキュメンタリーで、最も盛り上がる所である技術的な苦労がほとんど描かれてない。
……まあ、でも技術的な困難を映画にするのは無理なのか。
だが期待していたほど、見てるこっちは盛り上がれない映画だった。

わざとそうしたんだろうけど、細切れのエピソードを繋ぎ過ぎかね。
まあパートパートで描きたいところが色々あって、それを一本のストーリーにするのも
難しいだろうから、仕方ないんだろうけどなー。

映画でお金かけてこれを作るんなら、同じお金でドキュメンタリーを作って欲しい気がした。
とにかく、ドキュメンタリーが(最近何本か見たけど総じて)出来が良かったんで、
ちょっと求めたものが大きすぎたようです。
素材が十分にドラマティックだから、フィクションとして構築すべき部分が足りなかった。

役者はみんなまあまあな感じ。……まあまあ止まりなのは、個々は良かったんだけど、
それが組み合わさって相乗効果を出しているように見えなかったから。
正直、役柄同士の関わりって希薄でしたよね?

いっそのこと、映画はこの部分をもっと書いた方が映画のメリットを活かせたかもねー。
でも邦画は平均的にこんなもんなのかなー、人と人の関わりというのが。
いやいや、べったりくっつけと言ってるんじゃない、力量あるもの同士が醸し出す何かが映画には欲しい。

ちっこい息子と藤原竜也の関係はまあまあ、森口瑤子は若干好きなのでお母さんは良かったが、
三浦友和と杏の関わりは無理を感じたし、杏と藤原竜也は全く恋人的な感じがしなかった。
恋人の前段階の雰囲気すら感じなかった。いくら台本では恋人(未満)と書かれてるとしても、
あれではそれっぽくは全く見えない。
最後の台詞は、だから唐突過ぎて……。でもきっとあれですよね、監督か脚本家は、
「夫婦善哉」へのオマージュのつもりなんですよね、おそらく。

あえていいところを見つけるとしたら、宇宙に全く興味ない客層へ向けて、
そういう説明は子供を使ったり、図を使ったりして工夫してたと思う。
だがそういうところは、それこそドキュメンタリーが最も得意とするところなわけで……
やっぱり前に見たドキュメンタリーの方が面白かった、という結論になるわけです。

同じテーマで同時期に三作も映画が作られるというのも珍しいから、
「はやぶさ/HAYABUSA」「はやぶさ 遥かなる帰還」も見てみたい気はするが、
いずれテレビ放映してくれるかね。

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わたしも新聞の見出しで「なんだ失敗か」とか言ってる方なので、あまりエラそうには言えないのだが、
宇宙計画は、“目標値に対して何パーセントの成功”というのを前面に出した方がいいんじゃないかね。
「イトカワに行って物質を持ち帰る」ということだけだと、白か黒かしかないわけですよ。
だが、こういう技術をぎりぎりのところまで追求するミッションは、
正直、出来なくて当たり前というものであるわけで……

大目標が達成できなかったからといって、得るものが何もないわけじゃないしね。
成功と同じくらい、失敗のデータも役に立ってる。
しかし税金を多量に(しかし軍事費に比べたら格安)投入しているだけに、
「失敗は失敗じゃない」とJAXAが言ったらそれは怒られるだろうから、
「目標値何%成功」という言い方をすればだいぶ印象が違うんじゃないか。

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