「クレーヴの奥方」、そもそも読もうと思ってリストアップはしていた。
そして先日源氏物語の関連書籍で、「クレーヴの奥方」の推薦文(?)を見た気がする。
そのこともほぼ忘れていたんだけど、読んでいるうちにどことなく源氏物語を連想する口吻が
感じられた。でも実はそれって、訳者の青柳瑞穂さんが故意または無意識にトーンを同じくした
結果であって、訳文を意識しなければ別に関連性があるとは思えないなあ。
あえていうなら、男がけっこうマヌケに見えるという部分に関連性が……
わたしの個人的な意見だが、現代語訳の源氏物語って、源氏が女々しいというか、
物言いがなんか……まあマヌケな感じ。よくそれで数多の美女が惚れるなーと。
ま、源氏の魅力は多分台詞じゃないんですね。本人に会ったことないから知らんけれども。
「クレーヴの奥方」も、相手役であるヌムール公が……どことなくマヌケ。
わたしはクレーヴの奥方は(若干エキセントリックにしても)魅力的だと思うけど、
ヌムール公にはさっぱり魅力を感じない。類型的っつうか、独自性がない。
女が書いたオトコのせいなのか?
そういえば、女が書いたオトコでかっこいいのは……ぱっと思いつくものがない。
塩野七生くらいなのかな。しかも塩野七生は、あくまで政治的な男性を書いただけ(?)であって、
彼らの恋愛生活を書いたことは、……あ、あるな、都市三部作は彼女には珍しく
主人公が創作された人物で、恋愛状況も(わずかに)書いてた。彼は好きだった。
うーんうーん、でもそうか、やっぱり男は恋愛部分だけを書いても魅力的にはなりえないかもねえ。
ロミオは魅力的か?えーと、ロミオは魅力的だろうか……(沈思黙考中)……
ロミオを魅力的という観点から見たことはないな!
思い出してみた限りでは、「恋の翼で乗り越えました」なんて台詞は甘すぎてやはりマヌケといえば
マヌケかも……
恋する女は物語だが、恋するオトコは喜劇なのかもねー。
恋する男の名作。思いつかない。(というより、名作自体が記憶にない)
かろうじて「伊勢物語」。だがまあ変化球にもほどがある例だよね。
明治から昭和にかけての日本文学全集には、オンナにだらしない男たちの私小説が多かった気もするが、
その名作って何かな。全体的にはむしろその湿度に辟易した気が。
夏目漱石の「それから」は男の恋愛小説かもしれない。んー、でも恋する男の話かというと違う……
「舞姫」も恋する男の話というよりは、より多く、恋する女の話だろうし。
谷崎あたりには何かあったかと思うけど、何しろ読んだそばから忘れて行くので、
もう何を読んだのか覚えてない。
そもそもわたしは恋愛小説を読んで来ただろうか。いや、ほぼない。
とりとめなく広がった話を元に戻すと、「クレーヴの奥方」、そこそこ面白かったです。
しかしまあ、こういうハイパーに倫理的な人を相手にする恋愛は、これは大変ですわ。
倫理性と恋愛は、水と油とは言わんけれども、相互に邪魔なものであろう。
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訳者は青柳瑞穂さん。
どことなく馴染みがある人な気がしたが、wikiを参照する限りそんなに読んだことはないかも。
レニエの「水都幻談」はあるけれども。
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