男子ショート。
織田信成はなんでこんなに重いんだ、得意なはずのステップでさえ、と思ったが、
演技後のインタビューからすると、重いというより硬かったらしい。やっぱりファイナルということか。
閻涵はプログラム変えましたよね?前のプログラムとても良かったのに、何で変えたかね?
そこまで攻めなくてもいい立場じゃないかね?
コフトゥンは、最初のステップを細かく刻むのがとても好き。好きになれそうな匂いのする演技。
だがまだ、色々まだまだ。
町田は……まあフリーをがんばれよ、というところか。
表現力はとてもいいと思う。ショートでジャンプを失敗するのは致命的だが、
その他の部分は見てて気持ち良かったもの。
チャンも珍しくジャンプを失敗なんかしていたが、滑りは相変わらずとても美しい。
表現力というのは、やはり表現なんだなあと思った。わけわからんですか。
ただ単に美しく滑るのではなくて、自分の中にあるものを外側に、目に見える形で出してくるという。
――しかし今回のショートは誰も文句なく羽生結弦でしょう。
シリーズは、彼にしては珍しく、おやおやどうした、という出来が続いたが、
ここへ来てちゃんと持ってくるんだもんねー。えらいねー。さすがだ。
演技を見ている間、“冷静と情熱のあいだ”という言葉が浮かんでいた。
これは周知のごとく、ひと頃流行った映画のタイトルですが、今回のユヅルは
まさに冷静と情熱のあわいにしっかりと身を置いている稀有な演技だったと思います。
フランス大会の時にわたしはここで、
“焦らず、力まず、それでもアツさを、なんて、とても難しいことなんだろうと思うが。”
と書いているんだけど、そのとても難しいことを彼はやってのけたと思う。
慎重になり過ぎてつまらなくなることもなく。熱過ぎて体力が尽きることもなく。
コントロールが完全に効いた状態で、しなやかに舞ってみせた。凄いなあ。18歳。凄いなあ。
プログラムの振付が良くなってましたね。ああいう微調整ってけっこう難しいものなのではないかという
気がするが、変更が吉と出ている。
こっからは強気で行け。いやまあ、全日本は若干冷静にでいいかな。
あとは四大陸選手権からブーストをかけていい気がする。勢いでオリンピックまで行ってしまえ。
――と見物人が言うのは簡単。まあ本人の宜しきように自由にやって下さい。
男子フリー。
町田樹はなかなか良かったのではなかろうか。
彼自身は強い「火の鳥」を目指したそうだけど、わたしの印象では、いい意味で初々しい。
少年っぽい爽やかな滑り。初心の花というような。清新でしたよ。
コフトゥンは振付が残念だ。チャイコフスキーのピアノ協奏曲1番はとても好きな曲なので、
最初の劇的で華やかな旋律を上手く振付に活かして欲しい。
わたしはあの導入部は、高い波を誇らかに越えて行く美しい帆船をイメージしている。
ダラダラと滑って欲しくはないんだよ。
閻涵はだいぶワルツで滑れるようになってきた?残念感は若干減った。が、もっと彼に合って
面白みのある曲はいくらでもあるのに、という気はする。彼もこれからこれから。
織田信成がショートとは打って変わって、彼の持ち味である柔らかさのある演技。
良かったですよ。黄色と茶色の衣装はプリンみたいで美味しそうだったし。
ところで野暮な疑問ですが、彼は妻子持ちですよね。生計はどうやって立ててるんだろう。
アマチュアでもアイスショーなんかに出たら、出演料は入りそうだ。
しかし浅田真央と違ってCM出演なんかはなさそうだし……
選手生活から引退したら、どうやって食べていくのかなあ、とふと思った。
解説はとりあえず本田武史がいるし、佐野さんもいる。高橋大輔も時々は出るだろう。
ところで、佐野さんの感想は競技中に気が抜けるのでヤメテ下さい……。
パトリック・チャン。やっぱりしっかり立て直してくるんやね、あの男はね。
しかし最終盤、大変珍しいところでバランスを崩していたな。1000回に1度ではないか、あんなの。
後半、少し追われるような差し迫った雰囲気を感じた。もっと自信たっぷりに余裕を持てれば
最後までわからなかった。多分、滑走順がもし逆だったら(ショートの得点順だからあり得ないとはいえ)
フリーの一位はチャンだったと思う。
ユヅルは、良かったけど、昨日のショートに比べたら“冷静と情熱のあわい”にいたとは言えない。
情熱に引きずられて、最後は体力を使い過ぎたでしょう。まあ最後まで勢いを残したのはえらかった。
やっぱり4回転を成功させて、それで堂々とチャンに勝ちたかったね。
シリーズは2戦ともチャンの下で2位に甘んじ、ファイナルで逆転という流れはドラマティックだ。
あとはオリンピックですね。怪我には気を付けてがんばってほしい。
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