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< 有頂天家族 >(アニメ・3話&4話)

わたしの知らないうちに「有頂天家族」、アニメになっておった!
3話目で気付いた。くうう。1話2話も見たかったぞ!

とりあえず3話4話を見た感想。
……ついこないだ読んで大変面白かった話なのに、話の半分くらいは忘れている。
そんな状態で何を言っても説得力がないかもしれないが。

けっこういい仕事してるんじゃないでしょうか、制作委員会!
これは力を入れている。時間つぶしの仕事をしていない。

何がいいって、まずその大部分は背景でしょうな。
きれいですよ。ロケハンもきっちりしているようだし、適当感がない。
ちゃんと神経を使って手間と時間をかけているという背景。
ながら見をしようと思っていたわたしが、これはちゃんと見なきゃいかん、と編み物を置いたんだから。

少し間が長いと感じるところは随所にあるが、……しかし原作の空気感を考えると、
この間は必要だろうしなあ。出来ればもっとぽかんと明るい抜け方をしてほしいかもしれないが、
それは神業の域。
とにかく美術部分が見どころ。しかしそれに対して少しキャラデザインには不満がある。

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そもそもわたしは昨今のアニメに対して、キャラデザインに不満がある。
――と言えるほど昨今のアニメを見ているわけでは全くないが、
いや、こないだの「ミルキィホームズ」がね、……何を間違って見たのかよくわからないが、
ホームズ物にはちょいと食指が動くのだ。
見て5分でムカムカ。まばたきとゆっくりした喋りで時間を稼ぐのはやめてくれ!
女の子はどうしてこう揃いも揃ってあり得ないデカ瞳のミニスカ女子なんでしょーかっ!

昨今「いかにもアニメ絵」というのばっかりで、わたしはカナシイ。
もっと個性を追求してくれ、クリエイターたちよ。
多分ちゃんと見てる人にはそれなりの差異は見つかるんだろうけど、
わたしにとってはみな同じだーっ。

可愛さのタイプを1つだけでお手軽に済まそうとするな。
こういうの描いとけば間違いないよな、とか止めて。見たことのないものを目指して。
追随するのではなくて、開拓していって。

作り出すことが出来る人は、その創造を大事にして。
疲れた体に鞭打って、それを丁寧に形にしてよ。
多分人間としての、――生物としてではなく人間としての存在の意味というのは、
広い意味での「創造」しかないんだから。

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「有頂天家族」も……3話4話見た限りにおいては、どっかで見たようなキャラ。
まあ目は小さ目だがね。全体的に肉々しさが足りない。
たしかに、主人公は人間としては(狸としてはというべきか?)飄々とした性格の設定だが、
それでももっと血肉が欲しい。ちょっとペラッと感がぬぐえない。

お母さんのデザインが不満だなあ。若い娘に化けてるの?
体のラインが女の子だよ。まあ狸だから何にでも化けられるんだけど、若作りしてるって設定だっけ?
白皙の美青年のバージョンの方は良い。

弁天もなあ……。うーん、たしかに一癖ありげな雰囲気は漂うが、すごく“普通”な一癖ありげ感で、
やっぱり、どっかにこういうキャクラターいたよね、と思ってしまう。
原作の弁天を読んだ限りでは、八方破れの暗黒エネルギーを持つ特異なキャラだと思ったんだけど。
アニメのあれでは、単に悪女的お姉さまにしかなってない気が。
まあ、弁天の真の姿は徐々に発揮されるのであろうが。
傾向としては、クシャナとかエボシ様……。そう思うとますます追随してしまうか。

わたしが楽しみにしていた赤玉先生の、「喜ぶ顔が見たいからだ!」は
全然名台詞ではなく終わってしまったなー。この辺がペラッと感。
原作は、とへとへ進む緩い小説だけど、アニメはそのとへとへ感を映すだけではなくて、
そこは独自の感覚で緩急をつけて欲しい。
わたしは原作原理主義に近いが、でも小説を忠実に映像化すると、それは紙芝居にしかならないんだよ。
タメを作って、引きと寄りをつけて、いや、それは絵柄だけのことではなくて、ストーリー上もね。

蛙のお兄さんの井戸あたりは、ぱこんとした間がいい感じだ。
……もう少し動かした方がいいかな、とはわずかに思うが、絵が動かせる話運びではないのもわかる。
これは苦労するだろう。努力したと思う。

4話の空中戦のところは面白かった。あそこはアニメならではのアドバンテージをよく生かしていた。
あと、偽如意ヶ岳事件の回想で、鞍馬天狗がこてんぱんにやられるところは、
原作に具体的な言及がありましたっけ?
ダルマがごろんごろん出てくるところとか、山の木が襲って来るところとか、画柄を面白く見た。
アニメの創作ならお手柄。

まあとにかくこれは、背景美術が大変にお手柄。美しい。見とれる。
見てると嬉しくなってくる。手をかけてる。わたし京都好きだし。季節感、時刻感を忘れてない。
特に時刻感は忘れがちなところだと思うのに……。えらいぞ!美術。

これ映画にしないかね?原作的には3部作の1らしいのだが……。
しかし2がまだ出てないようですね。あ、今連載中なのか?
このタイミングで1のアニメをして……うーん、やっぱり映画はタイミング的に無理か。
映画でがっつり見たい美術だ。話も、絶対細切れよりは続けてみたいよ!
あのパラレルワールドぶりは(←マジックリアリズムぶりは、というべきらしい)、
どっぷりひたって味わいたい。

オープニングの映像と歌が良い。にぎやかな疾走感が好き。
普段、毎回同じオープニング、エンディングは見るに及ばぬとして
飛ばしてしまうわたしが、このオープニングは飛ばさず見ている。
「勇者ヨシヒコ」のオープニングと同じくらい名作だ。わたしはああいう早送りが好きなのか?
でもヨシヒコのオープニングは面白かっこよかったよね。

エンディングは、弁天の変遷を映しているのはいい考えだと思ったけど、
あの絵の大きさだと、顔とかわかんないんだよな、わたしの20インチくらいのテレビでは。
もう少しでかく映るようにしてほしかった。

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