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< なくな、はらちゃん >(ドラマ視聴)

録画していた2013年1月-3月期のドラマを5月に見ました。
まあ「のだめカンタービレ」なんて、本放送の2年後?の正月に再放送した奴を録画して、
実際に見たのは11月なんだから、それに比べたら大変に早い方だ。

そして、「なくな、はらちゃん」は。

とても面白かった!!

残念だなー、ここまで面白かったら放送時にホメてあげたかった気がする。
わたしがホメても世の中の大勢に影響はないだろうけど。
いや、良かったですよ、キャスト&スタッフの皆さん!
こないだの映画「探偵はBARにいる2」に引き続き、作り手のいい仕事を見せてもらった。拍手。

“自分の描いたマンガからキャラクターが出てきた”。
ベタといえばベタ、え、今更そんな設定?30年位前のマンガにありそうなネタだぞ。
――でもそういう設定でも、丁寧に料理をすれば美味しく頂けるんですよ。
やはり創造は細部だね。

とにかくこのドラマは、――照明器具特化ドラマ。スタンドや提灯や、ランプがいちいち凝っている。
誰か照明器具フェチがいたのではないか。いいですよ。どこか一つフェチが入ってるというのは。
スタンドなんかは越前さんの給料で買うにはだいぶ贅沢な品で、
それがゆえに越前さんの性格の一端を表している。

部屋に漂う、お籠もり感というか、秘密基地感は背後のステンドグラスが醸し出していた。
ステンドグラスをはめるのはおおごとだから、あれ、シールかな。でも質感はステンドグラスだよな。
一体越前さんはこの窓にいくら使ったんだ!
……というようなことまで考えられるのが愉しい。
厚みが増すというものですよ、人物の。

一話を見た時は、わたしのキライなイタイタしいドラマなのかと思い、視聴を止めようかと思った。
(「シェアハウスの恋人」は最初のイタイタしさが乗り越えられず、一話で視聴終了。)
だが、わりとそのイタイ部分はあっさり通り過ぎてくれ、話の展開が速かったので助かった。
話自体をwell-done!とまでは言えないけれど、(無理がある部分も多々あった)
しかし骨が普通でもそこにまとう肉が旨ければ、やはりそのステーキは美味い、という感じ。

麻生久美子にハズレなしって気はするよねー。
……と言おうと思って、彼女の過去作品を見てみたら、実はわたしが見たのは数えるほどしかなかった。
いい役者だ。作品によって雰囲気が全く変わるもの。

今回のドラマでは「彼女が笑うと世界が輝く」という言われ方に納得してしまう。
実際、わたしが見ててさえ、ふくれっ面から笑顔になった時に、気持ちが明るくなる。
じっと表情に見入ってしまう女優さん。
それは全ての女優が持っている技ではない。わたしは他にはオドレイ・トトゥしか思いつかない。
はらちゃんの場合は、惚れた弱みなのかもしれないが。

長瀬もまあ、おっさんになって……。でもいつまで経っても若作り、よりはずっといいなあ。
今回は古めかしい衣装しか着せてもらえず、年齢相応の魅力が出てきているかどうかは
判断が難しいところだが、……やっぱり若干、もう少し若い時にやった方がいい役だったかな。
顔が太ったもんねえ。ぷくぷく。そしてあの顔色の黒さは何。
でもわたしはこの人、けっこう見る気になる人だ。役者といっていいと思う。
いい役者、というには脇役が出来ない(主に状況的に)という致命的な欠陥はあるが。
今回は、こういう変な役を熱演した。面白かった。

白石加代子も良かったなあ。あんな濃い役者持って来てどうなることかと思ったが。
普通の役柄が出来ない役者かもしれないけれども、今回はこのスパイス加減がちょうど。
弟役は、……正直もうちょっとカワイゲが欲しかったかな。阿部サダヲを若くしたらぴったりだろう。
最近、薬師丸ひろ子をこういうコミカルな役で見ているが、わたしは好きですね。
光石研がものすごく普通のおじさんで、まったくオーラがなかった。こういう風に
色々な役をやれる人がエライと思う。好き。

みんな良かったよ。よく考えてみると、設定のわりには、けっこうな人数が出て来てたね。
でもそれぞれの役柄が活きてたよ。若干、たまちゃんと笑いおじさんの役割分担が難しいかな、と
思った部分はあったし、さすがにパートのおばさんは一人しかキャラが立ってなかったが。
そこまで求める必要はないけれども、パートのおばさんのキャラ立ちも出来たら完璧だったな。

最近ようやく気付いたのだが。
わたしがフィクションは細部!と連呼するのは、つまり、――サービスを求めてるんだよ。
作り手側の観客に対する。
細部を作りこむってことの根底にはね、観客を喜ばせようというシンプルな動機がある。
つまり愛がある。その愛を感じてアリガタイんだよ、きっと。
制作者は観客に愛を!相手を喜ばそうとしたら、色々工夫したくなるんだから、きっと。
逆に言えば適当に作っているドラマでは、言うまでもなく観客に対する愛情などはなく、
単に視聴率算出のための頭数、カボチャみたいなもんなんでしょう。
やっぱり愛されたいよ。

もったいなくてこれ、録画消去出来ないなー。
テレビで録っちゃったので、DVDに落とせるのかどうなのか……。

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