前作も良かったが今作も良かった。
よく作ってある映画だよ。ちゃんとした作品だよ。適当な作品が多いなか、よくがんばってるよ!
このくらい気合い入れて作ってくれたらわたしは何の文句もない。
気が早いが、3も期待しているぞ!
まあ正直、アクションも血糊も過多なんですよ、自分の好みからすれば相当に。
しかしそれを乗り越えさせてしまう熱さがある。熱さというよりはテンポの良さ、つまりは技術の部分。
だがそれを技術と感じさせない雑然とした感じが、この映画の良さですな。
わたしは綺麗な映画も、キレイな映画もむしろとても好きな方だけど、
キレイな映画はそれだけになってしまう危険も常にはらむ。それではイカン。
それだけの映画だったら、大泉洋じゃなくてもこの作品じゃなくてもいいわけですよ。
この作品は、ひたすらに暑っ苦しく!!別に暑苦しさを目指した作品じゃないが、
丁寧に、詰め込めるだけ詰め込んだ結果、いい意味でとても暑苦しい作品になっている。
ここまで盛り込む、そして破綻させない、このバランス感覚は無比。
えらいなー、スタッフ。テガラは監督か?脚本か?キャスティングか?
いや、みんなテガラだね。ここらへんがどこか欠けてもまとまれない。
わたしは今回、全然気づいてないけど、音楽も良かったんだろう。
2度目だから、ケラーオオハタの美術には特に注目してなかったけど、
今回は探偵の自宅?事務所?の雑然ぶりが見事だったぞ。
トムボーイズ・パーティの店内も、よく見れば色々面白いところがあったらしい……
だが、わたしはあんまり目利き出来なかったなあ。パンフレットによるネタバレによれば、
男性マネキンの衣装替えなんかでけっこう遊んでいるらしいのだが……
今回の役者も非常にいいキャスティング。
その中でベストなのは……あんなにがんばった大泉洋を差し置いて、ゴリでしょう!!
あんなに役者だとは思わなかった。おかまぶりが嫌味なく板についていて、とても可愛いおかまでした。
そして……最後のあの表情は……アンタ、ほんとに役者だねえ!といいたい表情。泣けた。
尾野真千子という人は正直、わたしは今まで聞いたこともなかったわけだが……
「のぼうの城」にも出てたそうですね。さっぱり覚えてない。
良かったですよ。シリアスな場面は美貌が活きてた。
コミカルな場面でも……美貌が活きてた。本人もノッてたね。
渡部篤郎は巧いとは思うんだけど、近年はどんどんキモチワルクなっていって、
そろそろ歯止めが欲しい気がしている。あんまり狂気の方向に行ってしまうと戻ってこられなくなりますよ。
でも今回は、その狂気っぽくなりがちな渡部篤郎が、狂気っぽくなりがちな橡脇という役をやって、
良い節度を保っている。これは監督がえらいのでしょう。
普通は、せっかくこういう役が十八番の渡部篤郎なら、ここぞとばかりに出す方向に行くと思うんだよ。
でも監督はかなり抑えめ。それがゆえにバランスは崩れなかった。
篠井英介はおかま役が一番いきいきしているねえ。
普通の役をしているところもちょこっと見たことあるけど、真骨頂は女性役。
わたし、この人、ずいぶん長いこと歌舞伎界血縁者だと思ってたんだよ。顔が歌舞伎界っぽいもんね。
立ち位置が特異な役者として、今後も頑張ってほしいです。
……今までシノイエイスケだと思っていた。ササイなんですね。
大泉洋も松田龍平も、ほんと~~~~にアクションご苦労さま。
単純に運動量だけでもすごいと思うよ。
市電の中でのもみあいは、普通はやらんやろというか、企画としてやれんやろという
シチュエーションだと思う。実際ガラスが割れたそうだし、相当危ないよね。
うわあ、と思いながらハラハラしていた。
スプリンクラー全開の店での殴り合いも、それはそれは大変そうに見える。
カーチェイスは、実際に危なそうに見える。
まあ、わたしの好みとしてはもっとアクションを減らしてくれてもいいんだよと言いたいが。
話も上手かったと思う。
最後、わたしはけっこう驚いた。これを殺人事件としてどういう方法で解決出来るんだ?と
上映残り時間を考えつつ疑問に思っていたが、急転直下、真相はそうでしたか!と思った。
軽く、やられた感もあった。こういう風にさくっと斬られるのは快い。
うん。有難いねえ。ちゃんとした脚本は。
喋ってる人以外の人物をアウトフォーカスで画面に入れ込むという撮り方を多用していて、
そっちの小芝居も面白かった。こういうところ、役者もやっていて楽しいだろうなと思う。
いいねえ、ちゃんとした役者は。
いいねえ、ちゃんと作っている作品は。
今回自分の目にとまったところは、――それほど込み入った部分ではないけど、
最後の白鳩と、室蘭の古い団地でのほんの数秒の回想シーン。
特に後者は、……これ、あるとないとではものすごく違いますよ。情感が。
あの頃は若い街だった。今はこんなに寂しくなってしまって。というのがものすごくわかる。
あとは……スプリンクラー稼働時のアクションシーンの後、敵が徐々に動き出していくペースに
気遣いを感じた。けっこう丁寧。
北海道のロードムービーになるのも、また良きかな。
次も頑張ってください。
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