一度、山本耕史の芝居をしっかり見てみたかった。
いい役者なのではないか、と思いつつも
ちゃんと見たのは「新選組!! 土方歳三 最期の一日」しかないから。
あれはかっこ良かったけど、かっこいいだけで済む役柄だったような気がしないではない……。
あとは「華麗なる一族」(←台本のヘタレ具合により3話で視聴中止)
「マジックアワー」(←ほんのちょい役)、「ユメ十夜」(←納得できない夏目漱石)
「素敵な金縛り」……これは、脇役ではあったが、いい感じだった。
そして今回、念願かなって?主役をやっている山本耕史を30分×12回見たんですけどねえ。
まあそもそも脚本が。(またこれ)
時代劇なんだし、30分物だし、話が強引なのは多少大目に見ようと思うが、
多々納得できないところが。
……実はワタシ、第1シリーズ見てないんだよね。なのでそれでわからない部分もあったのかとは思う。
だが、その流れは変だろう!とほぼ毎回感じており、
特に最終回はその感を強くしたので、その部分を中心に。
襖越しの再会。
それだけで終わらせた方が良かったのに、(脚本が)白鶴に襖を開けようとさせ、
磐根にそれを(あんなに冷酷に)拒絶させるのは……。“いい人連呼”の磐根が冷酷無情に見えた。
むしろ逆の方が良かった。磐根が襖を開けようかわずかに逡巡し、白鶴が凛として去って行く方が。
逆じゃなくてもいいんだけど、いずれにしてもあの拒絶は強すぎた。
あの扇を出羽の何だか屋さんにやってしまうのは、深く考えれば思いを断つための有効な手段とはいえ、
贈り手の心を踏みにじる酷い行為ですな。
自分に対するラブレターを、他の男にやっちゃうんだよ?
わたしだったら拳骨で殴るが。
何を勘違いしているのか。出羽の何だか屋さんだって、全く嬉しくないよ。
実生活でこんなことをしたら、不和の種を蒔いているとしか言えない。
話として、出羽の何だか屋さんが磐根そっくり(というか本人)、というのは
ビミョーな気にならないか……。
白鶴は、一生磐根の面影を抱いて生きて行くということにしたいわけですよね?
それはオトコの勝手な願望ではないか。なんつーか……オンナに夢を見すぎでは。
しかもなんで痘痕顔にするかな。この辺いやらしい。そんな必要は全然なかったと思うけど。
おこんさんが気鬱になったのは、それは確かに新しいおかみさんが来て、
気持ちの張りを失ったせいもあるだろうけど、直接的には磐根が吉原でふらふらしているからでしょ?
それなのに、磐根は自分には全く関係ないような顔をしているよ。
周りの人も、品川さんが唯一そう言っただけで、磐根をたしなめるわけでもなく。変な流れだ。
お前のせいだろ、お前の!!と、テレビに向かってぶつぶつ言っていた。
さらに、湯治に行かせるって……。元締めさんならともかく、あんな小娘?の使用人を
湯治に出してやるってのは無いぜ、と思ったが、それはオハナシとして良いことにしよう。
しかしどう考えても……気鬱を晴らすために考えることは、湯治より先に祝言だろう!
祝言もあげずに2人で温泉かよ!……という部分がものすごく納得できない。
あと全編を通して気になっていたのは、
なんで長屋の人たちはずっと「浪人さん」と呼ぶのかね?
わたしは江戸風俗には詳しくないけど、浪人さんというのは決して敬称ではないと思うよ。
わりと時代劇とかでは使われているけど、実際は他に言いようがない時以外は、
面と向かっては「お侍さん」とか呼んだんじゃないかなあ。
だって、浪人=失業者ではないですか。
「浪人さん」というのは親しみをこめた呼び名には成りえない気がするのだがどうか。
同じ長屋に住んで、個人的な交友があるのなら、普通は「坂崎さん」と呼びそうなもんだ。
なのにずーっと「浪人さん」。違和感。
それから、なんであそこまで“いい人連呼”しなければならんかね?
いい人で優しい人で、他人のことばかり考え、そんな男なのだお主は。なヤツなんだよね。
あそこまでしつこく言われると、むしろ食傷して反発を感じますが。
脚本家は台詞として言わせずに、坂崎磐根がすごくいいヤツ、ということを書かなければ。
――ということを踏まえた上で、山本耕史についての感想。
……やっぱりいいヤツすぎたんじゃないだろうか……。
無理があるほどのいいヤツを演じすぎた。あのくらい徹底していいヤツになれたのは
お手柄だと見るべきなのかもしれないが、でもそれよりは連呼への食傷が残念ながら強い。
これはまあ、脚本家に責任をとってもらうべきかもね。
でも、少し明朗すぎたのはやはり山本耕史の責かなあ。
相当な陰を背負っているはずだよね。境遇を考えると。
それでもなお明朗で爽やか、というところが坂崎磐根の価値なのかもしれないけど、
その厚みを、“それでもなお”の部分を、十全に出せたとは言い難い。
……まあちょっとここまでは神業過ぎるかなあ。役者に神髄を求めすぎですか。そうですか。
全体的に、役者はみんないい味を出してたと思うなー。
男性陣がいいキャスティングだった。個人的にはそれほど好きでもないラインナップはずなのに、
みんないい人で見てて楽しかった。キャラクターが立っていたといえるかも。
この辺は素直に脚本家、エライと褒めずばなるまい。
女性陣は……中越典子、いままでそんなにいいと思ったことはなかった気がするが、
この役の弾ける明るさには惹かれたなー。これは惚れるわ。すごく可愛く見えた。
あと、ものすごく気に入ったのが地蔵の親分の女房のおしま・大村彩子。
どこで惚れたかというと、台詞はちょっと忘れたけど、
「女が見合いを断るってのは好い人がいるってことだよ!!」「そうなの?」「そーなの!!ねえ旦那」
その迫力に惚れた。いやもうスバラシイ。思わず巻き戻して数回見ちゃった。
あれは(そんなに他人の賛同は得られないかもしれないけど)名シーンだと思う。
っていうような感じでしょうか。
こんなに文句をいいつつ、3の再放送もあったら見るだろうな。
そしてまた脚本に文句を言うに違いない。
でも途中で止めなかったんだから、まだ良かったというべきなのか。
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