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◇ 森見登美彦「有頂天家族」

久々の森見登美彦。

前読んだのは「太陽の塔」か?ファンタジー大賞をツブした時だったはずだから多分そうだ。
前は、変な話を書く人やなあ、と思って微妙だった記憶あるが、でもリストに残して
リピートしたってことはどっか面白かったんでしょう。
そして今回の「有頂天家族」はとても面白かった。

ナンセンス・ユーモア小説。……と言いたいところだが、
近年こういうのはマジック・リアリズム小説というそうだ。
マジック・リアリズム小説と言えば池上永一。一旦ツブしてからご無沙汰だが元気かねえ。
池上永一と森見登美彦。たしかにジャンルはとても近い気がする。なるほど。

タイトルからすると、下町で暮らす、喧嘩は多いけど仲のいい楽しい我が家的な話っぽいじゃないですか。
――いや、それはそれでそんなに間違ってもいないけど、狸の家族の話でした。
プータロー(死語?)みたいな三男が主人公で、肝っ玉母さんと、死んじゃったけど偉大だったお父さんと、
神経が細くて面子にこだわる長男と、世捨て狸として蛙になってしまった次男と、
臆病者で可愛さ担当の四男という家族。
それが師匠である老天狗と、その弟子であり片思いの相手でもある元人間の女大天狗・弁天と、
敵対する親戚狸一家と、入り乱れてあれやこれやする話。
まあ大変にぎやかでした。

そんな話のくせに、時々泣かせる……。
母狸のセリフとか。(この母狸は熱狂的タカラヅカファンで、人間に化ける時には白皙の美青年に化ける)
「蛙でも何でもかまわないよ。あなたたちがこの世にいるだけでわたしはじゅうぶん」
老天狗のセリフとか。(惚れている弁天に宝物をどんどんやってしまったことを主人公に責められて)
「まだわからんか、愚か者め!」「喜ぶ顔が見たいからだ!」
……切ない。母の情とか老いらくの恋とか。

この人の文章にはとても芸があるなあ。
芸を感じる文章に出会ったのは久々だよ。
「そうそう、ここにこの副詞が」とか「“おうち”が効いてるなあ」とか、
ニマニマしながら読んでいた。読んでいて嬉しくなる文章だった。
わたしはこういう人にこそどんどん書いて欲しいが……兼業作家なんだって。勿体ない気はする。
まあ年に1、2冊、コンスタントに出しているようだから、ペースとしてはいい感じなんだろうね。
今後ツブす予定なので楽しみ。エッセイも味がありそうだ。

有頂天家族
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コメント

  1. めぐみ より:

    めぐみです!
    このあいだコメントしためぐみです!覚えてますか?覚えていてくれた嬉しいですw(* ̄▽ ̄*)ノ”せっかくなのでメールできませんか?私ブログとかやってないのでお話がしたいです、アドは nekomegumi77あっとyahoo.co.jpです、待ってますね!(*^^*)ポッ