2006年のドラマ。再放送をやっていたので今回初めて見ている。
今更ですが、いやー、これ面白いわ。
ドラマはおバカ系が好きだ。しかし一口におバカ系と言っても、それはそれは多くのカラーがある。
この微妙な匙加減で好悪がはっきり分かれる。
このドラマは匙加減絶妙。すごい好み。よくやった、制作陣!
映像にちゃんと気を配っているのが感じられる。
ドラマなんだから映像に気を配るのが当然、と普通なら思うだろうが、
映像にも話にも気を配っていないドラマがいかに多いことか。
第一話の冒頭、すっかり“ながら見”をするつもりだったわたしは、
手元の編み物をすでに編み始めていた。だが開始3分。最初から巻き戻すことにする。
――これは、ながら見ではダメなドラマのようだぞ。
キッッチリと片づけられた台所で陶酔の表情を浮かべながらステーキを焼く阿部寛。
ここをじっくり映す。皿のデザインも、インテリアも、それぞれの家具の配置も、
すべて考えた上で配置されている。役者が話すセリフだけ聞いているだけでは勿体ない。
間とか、間のなさとか、小物とか。吟味してるわー。感心する。
阿部寛の猫背も、夏川結衣のポケットに手突っ込みも、印象的なポーズだ。
印象的と言えば、阿部寛のかっこいいオシリも……役者も大変だなー。
まあお約束つっちゃお約束なところも多々あるけど、そのお約束すらできずにダダ流し、という
ドラマも(おそらく)多いしね。
阿部寛とフレンチブルドッグのにらみ合いなんて、何度使うんだ、と言いつつ笑ってしまう。
阿部寛と夏川結衣の掛け合いで、固まった笑顔で冷静に突っ込む夏川結衣はお笑いのノリだ。
ここら辺のベタさがツボ。いいなあ。
話としては、ちとお約束から外れることもある。
いくらなんでも阿部寛が偏屈すぎるだろう!とか、ここまで言われたら普通絶交ではないか、とか、
医者が個人情報漏洩していいのか!とか、夏川結衣の性格に微妙に整合性がないとか、
高島礼子の立ち位置に無理があるとか。
まあでも他の部分が面白いから不問に付す。
登場人物は、全員が「イタイ人」なんだよね。
もちろん阿部寛を筆頭に、それはもう、ここまで徹底しなくてもいいよ、くらいに全員イタイ。
イタイ人にする必要なかったのではと思われる中川までイタイ。姪っ子さえ微かにイタイ。
まあ、夏川結衣の「イタさ」と「可愛さ」を両立させようとしてブレてる部分もあるが。
夏川結衣可愛い。わたしはたしか北野武の「座頭市」で見た姐さんのイメージしかないので
今回の役柄に大変驚いたのだが、可愛いじゃないですか!!
好きになったかもー。もっと見たいかもー。
だが実際に見てけっこう好きなはずの「花よりもなほ」「陰陽師」ではまったく記憶に残ってない。
まあ役者は役柄だねー。
音楽もいい。口笛という選択が大吉。じゃらんじゃらんギター鳴らすのも合っている。
ドラマの音楽はあまり存在を主張しないことこそ名作というべきなのかもしれないが、
口笛が流れるたびに、上手いなあと思う。
コンビニの店員も、レンタルショップの店員も、小技といえば相当に小技だが、
こう使うか!!と感心した。いいねえ。考えてますねえ、ほんと。
阿部寛のワードローブもほんと微妙なラインを狙っていて、衣装さん、お手柄でしたよー。
こういう細部まで凝ったドラマが好きだ。
またこういうドラマを作って下さい、作り手の方々。
おバカなのを。――うそうそ、見てて楽しいものを。
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