11月11日まで宮城県美術館にてエキシビ。滑り込み。
天気も悪かったし時間も遅めに行ったから、人が少なめでアンニュイに見られるかと思いきや、
さすが東山魁夷というか、エキシビの最終盤をなめたらあかんというか、
駐車場待ちなほど混んでました。県美術館の駐車場待ちなんて何年ぶりか。博物館はありがちだが。
でも、駐車場の混み具合から思ったほど中は混んでいなかったかもしれない。
わたしは東山魁夷は微妙な画家で……
今回見ながら、「いかにも東山魁夷、って感じの絵じゃない方が好きだなあ」と思っていた。
彼の作品って、森と白い馬のモチーフがとても多いでしょう。人気あるからいろんな所で見るでしょう。
それが食傷気味なんだと思う。
まあそのわりには長野市だっけ?東山魁夷美術館にも行ったことがあるし、
以前たしか宮城県美術館でも見たことがあるけど。
彼の絵は、どっちかいうと童画っぽいのとどっちかいうと大人っぽい雰囲気の絵とがあって、
わたしは後者の方が好きだ。素直に良い絵だと感じる。
今回のエキシビで言えば、大人っぽい絵の最右翼は「山峡朝霧」「山霧幽玄」。
黒一色(?)の深山と木々。水墨画的。しかし厳しさよりは優しみがある。
家に飾りたいですねー。家の雰囲気には合わんが。
「映象」は黒い夜の湖の絵。白い木々が湖に鏡面対称になっているという、東山魁夷お得意の構図。
雰囲気に異様さがあって。この森の中ではきっと今、祭祀が執り行われている最中で、
この静けさはそういう緊張感を含んでいると思った。
「冬華」これはたまに見かける絵。温かみのあるグレイを基調にした冬の満月。
その満月の光をいっぱいに浴びるたっぷりとした白い大木。
大木が白い象のように見えた。血が通った生物感がある。
「白夜光」おそらく北ヨーロッパの風景。広範囲を構図にし、二筋の大きな川が真横に平行に流れる。
その間は黒い森。川面が銀色に光る。空も銀色。臨場感満点。
銀色が美しかった。
上記3作品は大きくてだいたいサイズが同じ。
作品リストにサイズも書いといてくれればいいと思うが……縦と横の構図の違いはあれ、
長辺が2メートル程度だろうか。
3枚並べて展示してあり、それを5メートルくらい離れて一度に視野に入れると、
その組み合わせが良い効果を出していると感じた。飾り方で効果が違うのは当然のことだが、
本来ならば全く関係なく掛けられるはずの絵を、この並びで見られたのは幸運だった。
学芸員の方ありがとう。
その他は「月篁(げっこう)」。竹林、でしょうかね。竹の葉にしてはだいぶかたまり感があるが……
東山魁夷お得意の青緑。夜。頭上に月。
竹林と夜空の境、竹の先が風に揺れるさまが見える。さわさわと音も聞こえる。
「池澄む」。たしか画題は天龍寺の庭の池の石……。これも語ったなあ。
石が動物に見える。絵が語るというのはたまにあることだが、絵の中の画題そのものが語るのは
多分そんなにないと思う。絵の中から石に呼びかけられているような気さえした。
だが飾られた場所がはじっこで、正面からしっかり見られなかったのが残念。
1930年代くらいの、作風を模索している時の作品もそれぞれ面白かった。
風景のエッセンスを取り出して、どこまで単純化して描けるかへの挑戦。
その姿勢が「道」へ行きつくんだろうな。
実は唐招提寺の障壁画は見たい……
行けば普通に見られるのかな?ここ2か月ほど京都奈良に行きたい気分は重々感じるのだが、
どうも腰が上がらないのが我ながらカナシイ。
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