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◇ 平安寿子「こっちへお入り」

熱心なファンではないが落語は好きなので、モチーフとしてこの程度使われているのであれば
わりあいに楽しめる。意外に知らないっぽい話がいくつもあってびっくりした。

寄席に行ったことも何度かはある。東京在住ならもう少しちょくちょく行くんだけど。
でもテレビでやっている落語を見ようとまでは思わない。
一度見ればそれはそれで面白いだろうと思うが。

それでは基本的に何によって落語に親しんでいるかというと、落語本です。
古典落語を文章で読む。話芸の最たるものである落語を文字で読むことにどの程度意味があるのか、
とは常々思うが、読む落語、けっこう面白いですよ。
特に人情話あたりは、自分の読むペースでじっくり話につきあえるのでいいですね。
でも正直なところ、数十年前かな、よく読んでいたのは。

ただしこの話の骨子は、まあありがちなことながらアラサー女子の人生探しなので……
そういう話を読まない人は、あえて禁を破って読んでもいいことないかも。
うーん、わたし程度でぎりぎり楽しめたくらいか。
もう少しハードボイルドな読み手だとダメでしょうな。

平安寿子という人はこの作品が初。
嫌味のない話で嫌いではないけど、……やっぱり等身大の小説はあまり惹かれない……。
せっかくフィクションを読むなら、現実ではないところの物語を読みたいかな。

こっちへお入り (祥伝社文庫)
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まあいい話だったですけど。さくさく系。

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