うーん。
喜怒哀楽のはっきりした、シンプルな青春映画(?)だと思っていけば、まあまあ……
だがわたしは、原作未読だけど本屋大賞だし、和算の世界を小説にしたものと思っていたので、
もう少し微妙な味わいを期待していたなー。
うーん。って感じ。
とにかく話はB級ですよね。はっきりいえば雑。後半に行くに従ってひどくなる。
ツッコミどころが山のように……。
あのタイミングで夜討ちはねーぜ。百歩譲って夜討ちなら、もっと前にすべきだろう。
前であれば人知れず放火、でいいんだよね。斬り込まなくても。
何しろデータは紙なんだし。燃やしてしまえば問題解決ですよ。
せっかく時代物なんだからサービスでチャンバラ、と製作陣が考えたのならあまりに安易すぎるし、
チャンバラ以外でちゃんと見せるよう工夫せい、と言いたいところだ。
日本廻国の後、保科正之の前に水戸光圀へ会いに行くなんて言語道断。
水戸光圀が改暦の交渉まで安井算哲に任せるのはどう考えたっておかしい。
そんな下っ端がやることと違う。というより光圀が命じることと違う。
土御門さんが京都の庶民の前で演説するもんかね。くさっても貴族だぞ。
梅小路に来るのも、あんな装束の人なんてナイだろー。
検非違使庁の下っ端くらいがせいぜい。衣装と態度が合っていない。
この話のトンデモぶりは、まるで「陰陽師」のようだ……と思ったら、監督が同じなのか!
うわあ。いやー、「陰陽師」は原作からファンタジーだからまあしょーがないけど、
この映画は、話がトンデモじゃダメなんじゃないかぁ?
原作はどうなんだろう。
まあねー、話に目をつぶれば、見せてくれる画はわりと面白かったけど。
江戸時代の天体観測器なんて普段見る機会ないんだし、算学絵馬も画的に面白いでしょう。
だからこそ、この辺はちゃんと作って欲しい。手動万歩計なんて、
「へえ、こんなのあったんだ!」と目から鱗が落ちたように思ったのに、
映画オリジナルの小道具なんだってー。
作るなっつうのも微妙だけど、うーん、やっぱり歴史物として作って欲しかったなあ。
まあ、光圀の部屋はあれはあれで……面白かったけどね。でも黄金のギリシア柱はやりすぎ。
役者は、少し使いすぎ感があったかな。
結局、全て脚本に集約される。碁方面、算学方面、天文方面、暦方面、と少し話を広げすぎたんだよ。
なので、どれも描き方が中途半端に感じる。
碁方面では横山裕が、算学方面では猿之助が(嗚呼!)熱演していただけに、そっちに引きずられた。
もっと地味に描いた方が、暦方面のストーリーが活きたのではないかな。
とはいえ、役者はみんないい仕事した。
うーん、わたしは笹野高史と岸部一徳にがんばったで賞。出はそれほどではないけど、
いい役をやっていたな。笹野さんの無邪気な笑顔が可愛かった。
笑顔と言えば、佐藤隆太が可愛かった。彼は微妙な二枚目も三枚目も出来る、
良い奴もキレた奴も、繊細な役もシンプルな役も、明るい役も暗い役も
何でも出来る手広い役者さんだと思います。ちゃんと見たことは少ないが信頼する役者。
そして今回思ったんだけど、白井晃ってコリン・ファースっぽくない?顔がというより雰囲気が。
今回の長髪を見た時は、ハイドンかと思った。ちょっと違うか。
わたしは岡田准一、好きなんだけれども、こういうシンプルな喜怒哀楽に味が出るタイプではないよなー。
「花よりもなほ」あたりの茫洋とした感じ、何を考えているかわからない役柄が吉だと思う。
監督が上手く撮ってあげれば良く見える、という感じかな。
宮崎あおいは必要十分。前半は衣装班、仕事しろ!と思ったくらい同じものを着ていたが、
後半は可愛い小紋をとっかえひっかえ着ていましたね。
だが太陽を直接見ると目がつぶれるぞ。
うーん。2時間半。うーんうーん、若干長かったかなー。
封切りされて間もないが、見に行こうかどうしようか迷っている人は、
……話にウルサイという自覚がある人はやめといた方がいいような……。
画だけでも割り切れる人向け。
……どうでもいいが、この小骨の多い文章と、ブログデザインが合わないことおびただしいな。
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