好きなわりにあまりちゃんと見たことのない山本耕史のドラマを見ようかい、と思って
見始めたのだが……
ダメでした。2話で挫折。
最初につまづいたのは、とてもとても些細な部分で。
ヒロインが神社の境内で倒れた時に、その時たまたまそばを離れていた下男と女中が
慌てて駆け寄ってくるというシーンなんだけど、その駆け寄る下男と女中が、
石段を降りて来るんですよ。
その時、足元を見ながらモタモタと降りて来るのがアカン。
お嬢さまのことが心配で心配で全速力で走って来る時、足元を確かめながら降りると思うか。
というか、現代日本人は下駄を履きなれてないもんだから、そうとしか降りようがない。
でも江戸時代の人は、わたしたちが靴を履きなれているように下駄を履きなれているのだから、
ああいう時は倒れているお嬢さまから目を離さずに降りてこなきゃ嘘だ。
……それが出来ないのなら、わざわざ役者に石段を駆け下りさせるな、演出家。
まあ相変わらず重箱の隅をつつくダメだしですけれど。
ここで一気に興ざめし。
もっと根本的な部分では、三之丞の描き方がダメダメですやん。
嫁入り前に、……一体何を淡々と思いを告白しているのか!
主家の娘に思いをかけるということは、もっともっと命がけなことだろう!
あんなに簡単に口に出して言えるようなことと違う!
あれでは、ぎりぎりの恋情なんて全然伝わって来ないよ!
で、このぎりぎりの恋情が全く描けてない状態で、2話の手籠めに繋がると、
……何してはるん、アンタ?
って感じですよ。共感ゼロ。
役者の演技も相当なもんだが、根本的には脚本が。
だってさー。手籠めにして逐電、なら百歩譲ってわかるとしよう。
(それでも恋情が伝わって来ないという問題点は残るわけだが。)
手籠めにした後も、普段通り実家で仕えてるって……あり得なくない?つーか、あり得ない。
ヒロインが必死に隠し、三之丞をかばうであろうという関係性にも見えてないので、
なんでまだいるの、アンタ。と思う。
そして、これがもうあっという間に世間の噂ですよ。
しかもそれを、誰か知らないがわざわざ大坂まで知らせてやって、亭主が転勤から戻ってくるんですよ。
ああああ、あり得ない。
三之丞が、例えば付き人ではなく、実家の父が頭が上がらない人(上司の息子とかね)なら、
その方がずっと納得しやすい話なのに、なんでこんな人間関係で話を作ろうとするか。
オカシイ。
そしてその状態で、狐憑きだのの話でうやむやにして――でもそれは、
物語上のうやむやではなくて、ドラマそのもののうやむやになっとるぞ!
実家の父と兄の態度、ありゃなんじゃいね?
父もわけわからんが、兄がもっとわからん。何であそこで切りつけるか。
一人つんぼ桟敷におかれているわけでもなかろうに。大坂まで鳴り響いた妹の不身持を、
義弟に当たっても仕方あるまい。その激情があるなら、むしろ三之丞をとっくに斬り捨ててるよなあ。
というわけで、無理。見続けられない。
ジェームズ三木……。
「独眼竜政宗」は面白かった記憶があるのだが……
その後、何だかのドラマを見てやはり呆れたことがあって、ということは、
例外的に「独眼竜政宗」が面白かったのか。
まああれはキャストも良かったからな。
あの後から、大河ドラマはアイドルが出るようになっておかしくなる。
失礼ながら、だれが見ても美人、というほどではないヒロインへのセリフとして
「絶世の美女」を連呼するのもきつかったな。脚本が悪い。
山本耕史も、あの役柄であまりに淡々と演じるのもどうかと思う。
もっとどろどろとした部分がないと変だよねえ。
土方歳三のように、かっこいい役をかっこよく演じることが出来るだけなのか。
いやー、それならわたしはがっかりだぞ、山本耕史。
まあ、終盤にかけて面白くなっていく可能性はそれなりにあるんだけどね……
せっかくドラマを作るのなら、もう少し練りこんで作ってほしいよ。いつものオネガイ。
NHKはそんなにトンデモな脚本を用いるイメージはないんだけどなー。
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