今まで何冊か読んで来たけど、この人がこんなにエンタメだとは思わなかった。
解説で、目指せ、柴錬!みたいなこと言われているしね。
読んでて少し宇月原晴明を思い出した。
あそこまで目の眩むような極彩色じゃないので、安心して読めるけれども。
あ、そういえば宇月原の「黎明に叛くもの」はたしか松永久秀の話だったな。
登場人物が重なるんだ。
「夏雲あがれ」なんかでもそうだったけど、とにかく爽やかです、この人のキャラクターは。
それに対して悪役はしっかり悪役で、そういう意味では読んでて何のストレスもない。
読んでストレスのないことが小説の最重要ポイントだとは思わないけど、
わたしはどちらかというとストレス少なめの方が好きなので。
何しろ600ページ超、2段組ですから。
これでストレスを感じていたら、けっこう読むのが大変ですよ。
さくさく読んだつもりでも、休日2日分かかったもんなあ。
重さがあるので、持ち歩いて読むのも大儀だし。
わたしは、信長以降の戦国時代は、小学校の時ある程度読んだが、
その直前であるこの頃については、うーん、ほぼ読んでないなー。
室町幕府では、尊氏と義満以外は暗愚、暗愚とまで言わずとも凡庸なイメージ。
義政は文化人としては相当な高みにいた人らしいけど、
将軍が文化人としてのみ生きては、原則的には失格だろうし。
そんな状態でこの本を読むと、へー、いたんだ、こんなマトモな将軍が。と目からウロコ。
だが、この本では多分に美化されている。真っ青な空のように爽やかで、俊敏で、剣豪ですから。
このイメージだけで定着するのはキケンですね。
長い話で、当時の有名どころはほぼ網羅する勢いなので、
……何が嬉しかったかというと、「信長の野望」で馴染んだ懐かしい名前が散見されることだ。
ほら、あれですよ。シミュレーションゲームの。
そうか、いたなあ、安宅冬康。今までずっとアタカだと思っていたが。
武力が低い割に、けっこう政治力高かったっけ。
十河一存。たしかに特徴的な髪型だった気が……
そういう意味では足利義輝も登場していた気がするのだが、
わたしは主に信長勢力伸張後のバージョンでやっていたので、あまり記憶にはありません。
この本には番外編もあるそうなので読んでみよう。
コメント