どーも「ダーク・シャドウ」と「ダーク・ナイト」(バットマンの)とイメージがごっちゃになって、
タイトルが定着しない……
面白かったです!「アリス・イン・ワンダーランド」より良かったなー。
話が過不足なく作られていた。シンプルなんだけどイージーに感じないのは、
細部をちゃんと見せていてくれたからでしょう。
ほんと、最初にバーナバスとアンジェリークの少年少女時代をちらっと映してくれたことで、
話の説得力がどれだけ違うか!!――いつも「脚本が、脚本が」と言ってばかりのわたしだが、
脚本に期待しているのはこういう部分なのだ!!
この少年少女時代のシーン。多分1分とか、せいぜい2分のシーンだと思うんだ。
でもこれがあることで、アンジェリークのバーナバスへの執着に説得力が出るし、
しかもその(アンジェリーク側の)純愛も描ける。大事だ。すごい大事だ、ここ。
まあ最初のシーンと言えば、時代物の帆船の船首像から始まったので、
「あれ?“海賊”を見に来たんだっけかな?」と、一瞬自分の立ち位置が揺らいだのではあるが。
そして、その船首像は多分エンジェル・ベイ社の重役会議室に飾られている。
それもアンジェリークの執着と純愛を示していて、これもいい仕事。
もっと細部を言えば、
その重役室に飾られている、歴代のブシャール家の女家長(実は本人)の肖像画も地味にいい仕事。
秘密の地下室にあった首飾りをバーナバスがつけてるのもいい仕事。
シャンデリアをこまめに印象付けているのもいいと思うし、
アンジェリークの下着が真っ赤で、その切れ端がバーナバスの口元にひっかかっているのもいい。
バーナバスのベッドが棺桶に辿りつく見せ方も笑える。
全てにわたって神経がいきとどいたいい映画。
ま、最終盤だけは……暴走気味ですけどね。
でもそこまでの間をよく描いていてくれたので、不満は感じない。
「ええっ!?この期に及んでソレ?」という小ネタも出て来るが、
これを小ネタに留めていることにむしろ好感を持ったし。
(なのでパンフレットの書き方はマイナス。)
終盤、デヴィッド少年の設定が活きていて、これもいい仕事だったなあ。
キャスティングも優秀。
話として、登場人物の人数も過不足ないし(ロジャーだけはいなくてもいいキャラだと思ったが)
また人に合った役者を持って来ましたよー。えらい。
デップを初めとして他のみんな良かったが、やはりミシェル・ファイファーとエヴァ・グリーンが。
ミシェル・ファイファーは本当にスタンダードで、こんなコメディならば
もう少し面白めに(誇張して)演じたくなるものだろうに、実に普通なんだよね。
そこがいい!!
話のゼロ地点として、とても大事。こう書いた脚本もえらい。
だって他の役者が相当に濃いでしょ。そこでミシェル・ファイファーまでが濃かったら、
しつこい感じになっていたと思う。ごたごた。
まあ彼女も平静な顔で、やることはけっこうすごいんだけど……。いいなあ。いい配分だなあ。
エヴァ・グリーン。
「キングダム・オブ・ヘブン」と「ライラの冒険 黄金の羅針盤」で見た。
どちらも印象に残るいい役ではあったけれど、雰囲気だけでいける役といえばいえる役だったんだ。
なので、演技者としてじっくり見たのは初。
良かったですね。凄絶な美貌が活きていて。コワくて可哀想で、素晴らしい。
ついでにカラダも素晴らしい。
お約束のヘレナ・ボナム=カーターも健在。
少しお太りになられましたか?それとも役作りですか?良かったです。
実にささいな点を言えば、デヴィッド少年と関わるシーンがほぼ皆無だったのが説得力に欠けるが。
下働きのジャッキー・アール・ヘイリーもいい味。ワンポイントくっきり、という感じ。
クロエ・グレース・モレッツ。「ヒューゴの不思議な発明」を見たばっかりなのに、
そこで可愛い子だと思ったばかりなのに、映画見ている間は全く気付かなかった……
ま、役柄が相当違いますから……。彼女も良かったなあ。
今回は点景人物だったが、今後期待かも。
ベラ・ヒースコートは重要な役柄のわりには、周りと比べると相当薄味。
でも周りが濃いからこそ目立ってたというのもある。
少し超越している感じが出ていて良かった。でも彼女の境遇の話は少しおざなりではあったかな。
デヴィッド少年のガリー・マクグラス、役者名さえ出てこないけどジョンソン夫人も良い。
(どーでもいいけど、テレビとか出版物とかで“夫人”と”婦人”を間違えすぎ!)
あ!またクリストファー・リーがチョイ役で!
あとは言わずもがなで……セットが大変にいい!
家もなあ……。なんというか、セットとして考えたというより、誰かが所有物としてデザインした
こだわりを感じるよねえ。モチーフが水産関係というのはあまり気付かなかったが、
誰かの明確な趣味がちゃんと背後に流れているのを感じる。
“それらしく作ろう”というより“こういうのが好きだ”という。
隠し戸棚の使い方も小ネタでちょっとお気に入り。
当然ながらアメリカで放送していたという元々のテレビシリーズのことは知らないので、
その時の役者たちがカメオ出演しているなどといった部分のお楽しみはナシ。
当時上映されてた映画「スーパーフライ」にくすっと笑うなどいった部分もナシ。
……そして、実はわたしは洋楽には大変に疎いので、「へー、これがアリス・クーパーさんか。
まるで男みたいなゴツさだなあ」と思ったことはナイショだ。
楽しい映画でした。
あ、そういえば。
今年の末「ホビット」やるんですね。あの世界にもう一度出会えるんですね。嬉しいよ。
だが、予告を見るに美形が出てこず、おっさんだけっぽいのが若干ツライかもしれないという気がする……
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