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◇ ベンジャミン・フランクリン「フランクリン自伝」

アメリカ文学最短コース遍歴中。

うううう~。
これ、訳がヒドくないか。いやヒドイまではいかないか。
でも、悪いんじゃないか。読んでいて辛かった。

とにかく“つもりにしていた”という言い方が大凶。乗り越えられない。
なぜ“つもりだった”と言えん!“つもりにしていた”というのは完全に話し言葉だと思うんですけど!
それが1冊のうち何度も何度も何度も何度も出て来るので、不満が溜まっていく。

文章自体も退屈だった。原文はどうなのかは知らないが。
だが、少なくとも日本語になったものは、平易だけれども冗漫。文章として味がない。
無駄に一行が長い。
訳者を責めていいのか、フランクリンを責めるべきなのかわからないよ。
書いてある内容からすると、原文も名文ってわけにもいかなさそうだし……
まえがきに、メルヴィル(よく知らないけど「白鯨」の人ですな)に
「(フランクリンは)詩人にだけはなれない人間」と言われた話が出て来るが、わかる気がする。

まあこれだけ現実で成功する人が、そもそも詩人気質を持つことは不可能だと思う。
むしろ不要な部分だろう。
人生のハウツー本。こういうの、ビジネス書あたりを読む層が読んで楽しい本なんだろうなー。
が、本が人生に即物的に役立つことは、わたしは求めませんからね。
ベンジャミン・フランクリンとはお友達にならなくていい。

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うげ。売れとるなあ。

……さらにいえば、とにかく訳者によるまえがきが長いわ。28ページも要らない。
しかもまえがきに本文を多数引いてるもんだから、実際に本文を読んだ時に、
既読感に悩まされる。というか、既読だ。
少しは考えてくれ。こういうのって普通あとがきだと思うんだけどねえ。何でまえがきかね?

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